ぼくらは粉々になって夜を知る

文字数 219文字

 ぼくらは粉々になって夜を知る
 暗がりは形を求めないから
 輪郭を喪った意志が夜に集う
 粉々になったぼくらが夜を知る
 知られない夜は美しかった
 皮膚の裏側を明かした夜は
 美しいという形容の似つかわしくない
 凄絶な相貌を(たた)えている
 粉々になったぼくらは
 残酷を見据えた優しさしか信じられない
 毒を含まざるを得ない誠実さしか信じられない
 美しくない夜に魅せられたぼくらの粉々の審美眼が
 夜空に歪んだ詩を見出だすとき
 きっと半面の真実が笑っている
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