鳥葬にされながらぼくが思うこと

文字数 292文字

 喰いたまえ、鳥たちよ
 ぼくはもう死んでいるから
 遠慮は無用だ
 ぼくは生きているときに
 生けるものたちの死肉をたらふく平らげた
 それを罪と感じるほど清らかではないけれど
 魂の穢れは
 きみたちの喰らう肉とは関わりがないはずだ
 ぼくの味はどうだ、鳥たちよ
 あんまり旨いものでもなさそうだな
 ごめんよ
 ぼくは焼き鳥も唐揚げも大好きだったが
 その旨味はもらい損ねたらしい
 そうしてきみたちが不味い不味いとつぶやきながら喰い散らかし
 肉屋の掃き溜めのような惨状を呈するその弔いの場にも
 薄汚れたぼくの魂は
 アホウドリのような薄ぼんやりした顔で憩っていることだろう
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