電話ボックス
文字数 290文字
電話ボックスがとても好きだった
街のあちこちに棺桶が立っているようで
立棺 に納められた緑あざやかな電話機
柩 に眠る死者のための副葬品
十円硬貨とテレホンカードさえあれば
ここではないどこかへつながることができる
テレホンカードの残度数を表示する真っ赤なデジタル数字
受話器を下ろしたときのピピーッという電子音
街頭に点在する静寂の一間
すべてが懐かしい
いまではあまり使わなくなってしまった
電話をかける相手なんてもういないけど
人の見当たらない夜闇に佇む
あの古めかしい立棺で
また仄暗 い孤独に憩いたいな
街のあちこちに棺桶が立っているようで
十円硬貨とテレホンカードさえあれば
ここではないどこかへつながることができる
テレホンカードの残度数を表示する真っ赤なデジタル数字
受話器を下ろしたときのピピーッという電子音
街頭に点在する静寂の
すべてが懐かしい
いまではあまり使わなくなってしまった
電話をかける相手なんてもういないけど
人の見当たらない夜闇に佇む
あの古めかしい立棺で
また