ブローティガン

文字数 293文字

 ブローティガンの
 まるで死の世界を描いたような
 静かな小説を再読していて
 以前とは様相の違う
 痛みに襲われた

 そこに登場するある女性の
 失意と
 悲嘆と
 自殺が
 あまりにも近く迫ってきて
 語り手から冷たくあしらわれ
 共同体からも白眼視され
 泣きながら首を吊る
 その顛末が
 あまりにも他人事ではなくて

 ブローティガン自身も
 最後は自殺した
 その事実も
 思い出さずにはいられない

 哀しみも痛みも
 決して望ましくはないが
 他人が言葉に込めた想いを
 以前よりは
 少しくらいは
 理解できるようになったのだろうか
 本の読み方が変わるくらいには
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