ぼくに理由はないけれど

エピソード文字数 361文字

 ぼくに理由はないけれど
 みんなには理由があるはずだ
 そう思わなければやっていけない
 そうでなければ

 今日、ぼくは息をした
 理由はない
 今日、ぼくは移動した
 理由はない
 今日、ぼくは詩を書いた
 理由はない

 窓の外を兄弟らしき子どもが歩いていた
 理由はあった
 公園の木を車椅子の老人が眺めていた
 理由はあった
 河川敷に犬を連れた女性が佇んでいた
 理由はあった

 夕暮れには理由があった
 日没には
 夜の訪れには
 ともされる灯りには
 頑是ない理由があった

 ぼくに理由はないけれど
 みんなには理由があるはずだ
 そう思わなければやっていけない
 そうでなければ
 だれもが理由を持っておらず
 時計じかけの歯車機械が
 意志もなく稼動しているだけなんて
 そんな笑い話はやめてくれ
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