類い稀なるバッハ

文字数 281文字

 ピアノの音を聴くだけで
 なぜこんなにもこころが躍るのだろう
 好きなピアニストの演奏する
 類い稀なるバッハ
 夜が安らぐ
 空気が()まう
 時間が存在し流れるからこそ音楽は成立する
 時のない永遠に住まう神に
 音楽は理解できるのだろうか
 類い稀なるバッハ
 神に寵愛されたとしか思えない音色
 それは錯誤と文明にあぐらをかいた
 被造物の味わう耳の喜び
 魂は耳を持つか否か
 音楽は神に寄与するか否か
 神学の知識がろくにない自分には
 わからない
 類い稀なるバッハ
 西欧文明の浸透から逃れ得た人間のこころには
 おそらくなにも届かない旋律
 類い稀なるバッハ
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