言葉のなかの他人
文字数 322文字
ぼくの言葉は
なぜだかとても
醜く思える
書いたときは
それほど悪くは
なかったはずなのに
自分が嫌いなら
自分の言葉も
嫌いになるしかないのだろうか
少しは好きに
なれるかと思ったのに
でも
自分の言葉には
他人からの影響が
明らかに見てとれる
実際に出会った人々や
本を通して出会った人々の
残響のような
影のような
切れ端が
それだけは
嫌いになれない
他人を好きになれないという
病癖を抱えてはいるのに
自分の言葉で
嫌いになれない部分は
自分のなかに残る他人
というのは
妙なことだ
醜い言葉の向こうに
人々の記憶が浮かぶときだけは
自分の言葉を
許せる気がする
なぜだかとても
醜く思える
書いたときは
それほど悪くは
なかったはずなのに
自分が嫌いなら
自分の言葉も
嫌いになるしかないのだろうか
少しは好きに
なれるかと思ったのに
でも
自分の言葉には
他人からの影響が
明らかに見てとれる
実際に出会った人々や
本を通して出会った人々の
残響のような
影のような
切れ端が
それだけは
嫌いになれない
他人を好きになれないという
病癖を抱えてはいるのに
自分の言葉で
嫌いになれない部分は
自分のなかに残る他人
というのは
妙なことだ
醜い言葉の向こうに
人々の記憶が浮かぶときだけは
自分の言葉を
許せる気がする