火の秋
文字数 343文字
火の秋
好きな詩人の
好きな詩にあるその言葉
なぜかしらこころを震わせるその言葉
火の秋
秋は燃えるのか
秋という寂しいあの季節は
冥 い埋 み火 をどこかに隠し持っているのか
火の秋
ぼくは秋の相貌にまみえたことがあるか
十二のみぎりに映ったあの死のように静止した季節は
凍りついた風景のままに燃えていたのか
火の秋
秋が残酷な無関心でぼくを葬ったときも
ぼくの魂から温もりが一掃されようとしていたあの秋にも
秋は凛然たる焔 でぼくを荼毘 に付していたのか
火の秋
ぼくの最愛の詩人のその言葉は
いまは泉下に眠る彼の生涯がつむいだその言葉は
死でさえも消しとめられない劫火 で秋を燃やしつづけている
好きな詩人の
好きな詩にあるその言葉
なぜかしらこころを震わせるその言葉
火の秋
秋は燃えるのか
秋という寂しいあの季節は
火の秋
ぼくは秋の相貌にまみえたことがあるか
十二のみぎりに映ったあの死のように静止した季節は
凍りついた風景のままに燃えていたのか
火の秋
秋が残酷な無関心でぼくを葬ったときも
ぼくの魂から温もりが一掃されようとしていたあの秋にも
秋は凛然たる
火の秋
ぼくの最愛の詩人のその言葉は
いまは泉下に眠る彼の生涯がつむいだその言葉は
死でさえも消しとめられない