怒りはいつも哀しみと

文字数 331文字

 怒りはいつも哀しみと手をつないでやってくる
 なぜこんなにも
 愚かでなければならないのか
 魂があり知性があり言葉があり
 鏡のように光を映す自然があり
 鳥は羽ばたき
 魚が隠れる
 水に祝された外界がそこにあるというのに
 なぜこんなにも愚かな潰し合いしかできないのか
 なぜ愛せたかもしれないなにかがこんなにもくだらなく汚されていくのか
 なぜすべてが沈んでいく地獄は関心も慈悲も呼ばずに放置されたまま次第に広がりことごとくを呑み込んでしまうのか
 なぜ怒らないのか
 なぜ哀しまないのか
 なぜ怒るべきことと哀しむべきことを認識することすら許されないのか
 なぜこころはそんなにも消えたがるのか
 たとえようもない怒りと哀しみが
 ぼくではないぼくに訪れて
 見下されたまま震えている
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