真夜中の誘い
文字数 571文字
父さんは眠った
母さんも眠った
ずっとそばにいる
黒い死霊 だけは眠らない
枕許 で死霊はささやく
きみとぼくとで
みんなをあっと言わせよう
手を握るんだ
そうすればあとは
ぼくに任せて眠ればいい
死霊の吐息は土臭い
悪いけど
布団の外に手を出したくない
いまは夜中でとても寒いから
枕許で死霊はささやく
ぼくの手を握れば
こころがとても温かくなるよ
きみの嫌いなアシダカグモにも
負けないくらいに強くなれる
手を出してあとは眠ればいい
死霊の声はカビ臭い
悪いけど
知らない人には触りたくない
他人はクモより苦手だから
枕許で死霊はささやく
きみとぼくとは
生まれる前からの仲なんだよ
お腹の中で先に死んだ
きみの大事な影なんだ
もう一度だけ共に眠ればいい
死霊の言葉は哀れっぽい
悪いけど
早く黙って眠りたい
きみの望みはよくわかったから
ぼくは死霊の手を握り
眼を閉じ眠って夢をみた
朝になると
ぼくはぼくの外にいた
ぼくなしで営 まれる朝の食卓
ぼくの椅子には知らない誰かが座っている
おはようと父は言い
よく寝たねと母は言う
お父さん
お母さん
それはぼくではないのです
ぼくを纏 った死霊なのです
母さんも眠った
ずっとそばにいる
黒い
きみとぼくとで
みんなをあっと言わせよう
手を握るんだ
そうすればあとは
ぼくに任せて眠ればいい
死霊の吐息は土臭い
悪いけど
布団の外に手を出したくない
いまは夜中でとても寒いから
枕許で死霊はささやく
ぼくの手を握れば
こころがとても温かくなるよ
きみの嫌いなアシダカグモにも
負けないくらいに強くなれる
手を出してあとは眠ればいい
死霊の声はカビ臭い
悪いけど
知らない人には触りたくない
他人はクモより苦手だから
枕許で死霊はささやく
きみとぼくとは
生まれる前からの仲なんだよ
お腹の中で先に死んだ
きみの大事な影なんだ
もう一度だけ共に眠ればいい
死霊の言葉は哀れっぽい
悪いけど
早く黙って眠りたい
きみの望みはよくわかったから
ぼくは死霊の手を握り
眼を閉じ眠って夢をみた
朝になると
ぼくはぼくの外にいた
ぼくなしで
ぼくの椅子には知らない誰かが座っている
おはようと父は言い
よく寝たねと母は言う
お父さん
お母さん
それはぼくではないのです
ぼくを