風のような詩集

文字数 212文字

 窓をすり抜ける風のような
 余白の美しい詩集に出会えた
 まだ冒頭の一篇しか読んでない
 ゆっくりと読んで
 ゆっくりと読み返した
 ページを閉じる
 急いで読むのが惜しい気がしたのだ
 表紙を眺めて
 いま読んだ詩を反芻(はんすう)する
 すでにしてよき記憶の手触り
 明晰な声
 透明な言葉
 重病快癒後(じゅうびょうかいゆご)の散歩のように
 ゆっくりと歩こう
 ゆっくりと読もう
 手許(てもと)に詩集
 言葉の微風
 いつまでも生きられるような悠長な気分で
 ゆっくりと遊ぼう
 ゆっくりと読もう
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