沈丁花と不死鳥
文字数 503文字
不死鳥のようなぼくの
幸福を感じたことがないときみは言っていたけど
幸福をたびたび感じたことのあるぼくも
死にたさは一緒だと思っていた
でもきみの死にたさと
ぼくの希死念慮は
同じようで違うものだったんだね
死ねばみんな塵だけど
死にたがる内実は個別のものだ
少しは重なるところがあっても
結局は他人でしかなかったんだね
そんな当たり前の事実に
やっと気づけたよ
沈丁花のようなきみの苦しみ
不死鳥のようなぼくの希死念慮
まあなにはともあれ
ふたりは病的な死にたがり
きみが死ぬのは耐えがたいなあと
ぼくは勝手に思ってしまうけど
そんなのきみを苦しめるだけ
きみを苦しめるくらいなら死んだほうがマシだけど
もともと死にたがっているから
死ぬのがきみのためだか自分のためだかわからない
まあなにはともあれ
まあなにはともあれ
ぼくより先に死なないでほしいよ
これから二度と会わないとしても
どこかで生きて笑っていてほしいよ
沈丁花のように死にたがるきみ
不死鳥のようなぼくの懇願