密葬

エピソード文字数 291文字

 そうだった
 そういえば
 もともとだれに読まれるかもわからず
 あてもなく書いていたのだった
 いつのまにか
 親切な人が欠かさず読んでくれていたから
 甘えてしまったような気がする
 そうだった
 もとはといえば
 自分以外がとうてい読むとは思えずに
 だれにも見せない遺書のように
 秘密めかして
 だれにも会わない湖に
 言葉を投げて
 微かな波紋も期待せず
 想いを沈めていたんだ
 そうだった
 そうだった
 もとはといえば
 だれにも知られない想いを
 だれにも読まれない言葉で
 密葬しているだけだったんだ
 十二のみぎりにひとりで埋めた
 自分の死体と同じように
ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

登場人物はありません

ビューワー設定

文字サイズ
  • 特大
背景色
  • 生成り
  • 水色
フォント
  • 明朝
  • ゴシック
組み方向
  • 横組み
  • 縦組み