ぼくは死ぬ、とても死ぬ

エピソード文字数 370文字

 ぼくは死ぬ、いつか死ぬ、とても死ぬ
 金曜日に死ぬ、火曜日に死ぬ、木曜日に死ぬ
 家族も友人もなく死ぬ、三界に家なく死ぬ、裏切られたまま死ぬ
 なにもかも忘れ果てて死ぬ、なにもかもに忘れられて死ぬ、痴愚として死ぬ、老耄して死ぬ
 孤独に耐えきれなくて死ぬ、雑沓に耐えきれなくて死ぬ、水たまりに立ちくらんで死ぬ
 熟れた柿のように死ぬ、とぼけた傘売りのように死ぬ、地蔵にとまった鳥類のように死ぬ
 雨にうたれて死ぬ、雪に溶けながら死ぬ、曇りに侵されながら死ぬ
 昭和四十三年に死ぬ、平成元年二月末に死ぬ、西暦二千年代に死ぬ
 ぼくは死ぬ、だれかみたいに死ぬ、だれものように死ぬ、だれでもないままに死ぬ
 ぼくは死ぬ、風景の一部として死ぬ、空の対立者として死ぬ、本にはさまれた押し花よりも死ぬ
 ぼくは死ぬ、ぼくは死ぬ、いつか死ぬ、とても死ぬ
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