夕暮れ、記憶

文字数 239文字

 窓から差し込む夕暮れの光
 頭上に広がる夕暮れの空
 無邪気に笑い合う夕暮れの子どもたち
 死にたくなるほどこころが折れた夕暮れの涙
 自転車の車輪がまわる音
 遠くから聞こえる他人の声
 飛んでいる鴉の無言
 すべて自分から切り離されていた
 自分は急速に終わっていた
 風景が自分を拒絶していた
 存在している価値がなかった
 それでも帰らなければならなかった
 どこかに帰らなければならなかった
 消えたくなるような夕暮れだった
 夕暮れは
 記憶にとりどりの層を重ねている
 おおくは哀しみをまじえて
ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

登場人物はありません

ビューワー設定

文字サイズ
  • 特大
背景色
  • 生成り
  • 水色
フォント
  • 明朝
  • ゴシック
組み方向
  • 横組み
  • 縦組み