第864話 11/13

文字数 918文字

 朝。

 眠れたと思うけど、夜中にcpapのホースが結露して使えず。
 久しぶりに素で寝たから、浅い睡眠だったし、疲れやすい。

 昨日から急にガクッと気温が下がり、一気に冬ぽくなった。
 そのせいか、分からないが。
 身体がダルくて、散歩に行きたくなかった。

 だから、家で過ごそうと思い。
 昼ごはんぐらい、作るかと茶碗を洗ってみた。
 大体、そういう面倒なことをやる時は、音楽を聴かないとやれないから、岡村ちゃんを流しながらテンションあげてる。

 そして洗い物をしながら、ふと思い出した。
 お袋が作っていた、とある郷土料理? だと思うのだけど。

 それがまあ、癖が強いもので、家族が誰も好んで食べない。
 お袋自身も食べたか、記憶にないぐらい。
 しかし、定期的に作るし、祝い事とかよく用意していた。
 小さな魚を煮込むんだけど、香りも味もなんというか。

 たぶんだけど、姑である死んだばあちゃんから、教えてもらった料理だと思う。
 新婚当時、お袋が作ったものを親父がなんでもまずいというから、お袋がばあちゃんに習いに行ったとか。
 今でも、不味いしか言わないのだけど。

 それで習ったメニューの中の一つが、その料理で。
 誰も食べないのに、何十年も作り続けるから、僕が大人になって聞いたんです、お袋に。

「誰も食べないなら、作らなくてもよくない?」
 と言ったら。
「お父さんが好きだから作ってる」
 と答えられて。

 疑問に思った僕は、ある日、晩酌している親父に聞いたのです。
 目の前にある、魚料理に手をつけてないから。

「それ好きなんでしょ?」
 そしたら、真顔で。
「好かん。誰が言ったんや?」
 と言われたので、僕は。
「いや、別に……」
 と答えた。

 必要なことでさえ、お互い話し合えない夫婦といえど。
 相手を思って、40年近く作っていたのに、嫌いだったメニューを作っていたとか。

 僕はかわいそうと思い、お袋にこの事を黙ることにしました。
 
 それを昨晩、奥さんに言うと怒られて……。
「言ってあげなよ!」
 と言われたが。
「いや、作った40年間が、あまりに不憫で言えなかったよ……」
 ていうことに。

 まあ、かなり変わった夫婦の話です。

 今日は予定なし。

 ではまた!
 体重、85キロ。
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