第54話 9/20

文字数 794文字



9/20
 気分はそんなに悪くない。
 けど、結局連日深酒している。
 
 とりあえず、毎晩何杯飲んでいるかを妻にメモしてもらうことにした。
 それで、どれぐらいで酔えるのか検証している。
 少しでも減らせればいいなぁと思っている。


 昨晩は嫌な、というか変な夢を見た。
 例の作業所に戻れるんじゃないかという期待が強すぎたようで、僕が作業所に一年経った今戻るという夢。
 そこにはもう僕の居場所はなくて、友達も仲の良かった人も少なくて、みんなにいじめられるような嫌な場所になっていた。

 そして、僕が一番慕っていた男性スタッフにこう言われた。
「味噌村さん、ここに来るのは間違っていると思います」
 とてもリアルで、彼がいいそうなセリフだった。

 そこから急に映像が切り替わると、現実にあったシーンに切り替わる。

 僕が作業所に不満が出て、ちょっと運営側とケンカぽくなったときのこと。
 スタッフがそれを聞いて、僕の肩に触れてこう言った。
「味噌村さん、ダチとしていいます。出ていってください」
 
 これはきっと僕は死ぬまで忘れないセリフだと思う。
 『ダチとして』という言葉が胸に深く突き刺さった。
 彼はまだ友人として僕を認めてないといったが、彼自身、きっと僕のためを思って、上司や組織関係なく、一人の人間としてアドバイスしてくれたんだと、僕は思った。

 その実際にあった映像が何回も何回も繰り返し、続く。
 僕の肩に彼が触れる度に「ダチとして」「ダチとして」「ダチとして」
 永遠に繰り返される。

 夢の中でも僕は思った。
 きっと、僕は未だに彼のことを友として大事に思っているから、こんな暗示のように「来ちゃダメです」と繰り返すんだと。

 目が覚めると、とても胸が痛かった。
 もう会うこともないと感じると、寂しさを感じる。
 
 でも、それはそれ。
 僕はきっとこの痛みもいつか、作品に変えてやるとポジティブに考えている。

 ではまた!
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