【乱入自由】今岡英二の「食べ歩き万歳!」

07話① 岩手・盛岡の「鮨懐石 重兵衛」

エピソードの総文字数=1,446文字

今度は盛岡ですか。ほんと日本各地を歩き回っていますよね。
まあのう。いろいろ見て回ることで見聞を広めようと思っとるんでな。

お前、本当に物書きか?

どう見ても、その行動力、インドア派のものじゃねえだろ。

おう、これでもれっきとしたインドア派じゃ。もっとも、学生の頃から無駄な行動力にあふれとったがの。
たとえば?
わしの親友の一人に柔道家のやつがおってな。当時からそいつは黒帯の武闘派じゃったんじゃが、その無茶につきあえるんわ、わしぐらいのもんじゃったの。
なにやらかしやがったんだ?
いや、たいしたことじゃないぞ。ただ、地元から広島の町まで片道20キロ、深夜にみんなで歩いて遊びに行って、その帰りみんなが徹夜明けでぐったりと電車で帰るなか、わしと親友は自転車かついでいってたんで、帰りは自転車こいで帰ったりとか、真冬にいきなり「キャンプしようぜ」と言い出して、真冬の海で凍え死にかけたりしたとかぐらいじゃ。
前々から思ってたんですが……、今岡先生は馬鹿でしょう?
はっきり言うのう……。
すまんが、これっぽっちも擁護できん。

………………(無言の涙)


で、盛岡でもいろいろと見て回られたんですか?
そりゃ、むろんのことじゃ。
どういうところを見て回ったんだ?
盛岡っていうと、なにが思い浮かぶ?
そりゃあ、石川啄木や宮沢賢治といった文豪でしょうか?
なるほどな。それらの縁の地も当然足を運んだぞ。
あとは盛岡城ぐらいか?
それも行ったのう。じゃが、それらは当然のことながら、まだまだ見るべきものはたくさんあるぞ。
どういうところです?
たとえば、「上の橋の擬宝珠(ぎぼし)」とかな。
擬宝珠?
ほれ、橋の上についとる「スライムみたいな形のやつ」があるじゃろ。あれがそうじゃ。

ああ、あれですか……って、あんなものを見てどうしようっていうんです?


知らんのか。盛岡の「上の橋の擬宝珠(ぎぼし)」は「慶長14年」という銘が刻まれとるのが8個、「慶長16年」という銘が刻まれとるのが10個あるんじゃ。「慶長14年」と「慶長16年」はそれぞれ「1609年」「1611年」のことじゃからな。江戸の初期から残る貴重な文化遺産なんじゃ。ここまで保存状態のいいのが大量に残っとるのはめずらしいんで、この橋の擬宝珠は「国の重要美術品」に指定されとるんで。
マジかっ!?
おう、そういう美術品をただで拝めるとあれば、逃す手はあるまいよ。
ふつうそういう情報を知っている人もそうそういないと思いますよ。
あと、それ並に変わったところってあるのか?
なんぼでもあるが、しいて言えば、「三ツ石神社」かの。
神社ですか?

おう、ここの神社は変わっておっての。ただ大きな石が三つあるだけの神社なんじゃ。


だから「三ツ石」なのか。
そういうこと。実は岩手には昔鬼が住んでたという伝説があってな。それが神様にこらしめられた際、「もうここには来ません」という証のために手形を残していったといわれておるんだ。その手形を残したのが、この神社の「三ツ石」というわけなんじゃ。
なるほど。
で、その「岩に手形を残した」という伝説が、そのまま「岩手」という県名になったというわけなんじゃ。
マジかっ!?
ついでにいえば、このあたりの地を昔は「不来方(こずかた)」とも呼んだんだが、これも鬼が「もうここには来ません」と言ったことがそのまま由来となっとる。
……今岡先生?
うん?
あなたのその無駄な知識、どこから来るんですか?(呆れ)
いろいろと勉強しとるけえな!(胸張り)

(駄目だ。皮肉が通じない……)


(もう諦めろよ……)

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