231話② 歌舞伎の演目の舞台となった、東京の「芝大神宮」

文字数 1,422文字

で、縁起のいい神社ってのは、どこなんだ?

ほうじゃな。

今回は東京の芝大神宮を紹介しちゃろうかの。

芝大神宮?

おう。

東京の港区は芝にある神宮のことよ。

ほれ、こがいなところじゃ。

なかなかに趣のあるところですね!
しかし、なんだな、大神宮ってわりには、そこまで大きいもんでもねえんだな。

ほうじゃのう。

そんかわし、ちゃんとした歴史のある、由緒正しい神社なんで。

そうなんですか?

ああ。

ここは平安時代の1005年に創建されたんじゃ。

古いな!?

ほうじゃろ。

なので古くから関東の武士の信仰を集めとってな。

源頼朝も自ら詣でて寄進をしとるし、秀吉も奥羽平定の際の戦勝祈願をしとるし、家康も関が原の前の戦勝祈願やら、大阪の陣の前の戦勝祈願なんかもしとる。

ちゃんと結果もともなっとることから、縁起がええいうことで、江戸時代には長らく将軍家からの庇護も受け取るぐらいなんよ。

なるほど、それはたしかに縁起がいいですね。
しかもここは、歌舞伎の演目の題材にもなった場所でもあるんで。
そうなんですか?

ああ。

実はここ、江戸時代に有名な「め組の喧嘩」事件が起きたところでな。

その喧嘩があまりにも有名になったもんで、「神明恵和合取組(かみの めぐみ わごうの とりくみ)」という歌舞伎の演目になったんじゃ。

ほれ、狛犬んところにも、ちゃんと「め組」って書かれとろう?

ほんとだ!
で、それはどういう事件だったんだ?
まあ、ひらたく言えば、「町火消し・め組の鳶職と江戸相撲の力士たちが乱闘事件を起こして、大騒動になった」というもんじゃな。
大騒動?
うん、なんせ力士たちと鳶職人700人が7時間以上もせめぎあう事態になったそうじゃけえな。
700人も!?

もともとは相撲をただ見しようとした鳶職人たちが悪かったんよ。

ただ、いったん喧嘩は収まったけど、その後でばったり出くわした鳶と力士が場外乱闘をやって、いろんな鳶や力士が乱闘して、しまいには火事でしか使わない火の見櫓の早鐘まで鳴らして鳶が仲間に動員かけたけえ、話がややこしくなったんじゃ。

それはたしかに大騒動ですね。

じゃろ。

おかげで普通なら町奉行・寺社奉行・勘定奉行のどれか、いうことになるもんなんじゃが、この事件に関しては「火消し衆は江戸町奉行」、「相撲側は寺社奉行」にそれぞれ訴え出た挙句、しまいには農民の訴訟を取り扱う勘定奉行まで乗り出してきたんで、結局は三奉行の協議によって裁定が進められるいうことになってしもうたんよ。

で、最後はどうなったんですか?

一応、喧嘩のもととなった火消し側に責任が重いいうことになって、火消し側は3人が江戸追放、うち一人が百叩きのおまけつき。

一方、力士側は、江戸追放よりやや軽い「江戸払い」が一人だけいうところじゃな。

なるほどな。
あと、火消し側には、江戸追放よりさらに重い、遠島を申し付けられたのもあるんで。
遠島?
つまりは島流しじゃな。
それはたしかに重いな。
で、だれが島流しにあったんです?

半鐘。


は?
じゃけえ、火事を知らせるための半鐘よ。
まじで!?

おう。

一番の騒動を巻き起こした張本人(?)いうことで、半鐘が遠島になったんじゃ。

遠島から戻されたのが、明治になってようやくじゃけえ、江戸幕府からは終生許されんかった、いうところじゃろうてな。

なんかそのへんが江戸時代のお裁き……
って感じがするな……

ほうじゃろ。

まあ、ええオチがついたところで、次はこの近くでわしがオススメする、安くてうまくて量もある寿司屋を紹介しちゃろうかの。

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登場人物紹介

今岡英二公式ツイッター(一日トリビアつぶやき中)



■今岡英二(天使)


最近「小説のキャラよりキャラが立っている」といわれる、同コラボノベルの作者。

無駄に行動力だけはある。

なお、この絵は作者がバンド活動をしていたとき、知り合いのイラストレーターが作成してくれたお気に入りの一枚。現在はバンド活動から離れ、体重が増加したため、ここまでかっこよくはない。


「上京して十数年経つが、広島弁が抜けりゃあせんのう(笑)」とは本人の弁。


■今岡英二(悪魔)


悪魔イラストの割りに、天使と対立しているわけでもない。広島生まれ・広島育ちの根っからのカープファンだが、近年カープが人気しすぎて、年一回の帰省でも現地で野球が見れないのが最近の悩み。


「ええんじゃ。昔の貧乏な頃のカープに比べりゃあのう。みんなが見に来てくれて、潤うようになったカープがありゃあ、それだけでええんじゃ……」とは作者のコメント。

■今岡英二(お守り)


歴史オタク・読書オタク・漫画オタク・勉強オタクな今岡英二の変態担当、作家・ライター担当。自身の小説キャラを辟易とさせるなど、悪魔よりも悪魔っぽい存在。


「なんでそんなことまで知っているんだ」「ふつうそこまで知りませんよ」とキャラにつっこまれても、「勉強したけえの」と言えば大抵のことは許されると思っているなど、余計に性質が悪い。

ニコル・クロムウェル(Nicol=Cromwell)


「Dr.ニコルの検死FILE」の主人公。

作者・今岡英二のつっこみ役A。紳士然とした丁寧な語り口だが、作者に対してはたまに辛辣な物言いを吐く。たぶんストレスがたまっているんだね。

武松(ぶしょう)


「大宋退魔伝」の主人公。

作者・今岡英二のつっこみ役B。そろそろ「左近ちゃん 見参!」の三成にでもつっこみ役を代わってもらいたいと思っているが、同作のキャラアイコンが家紋なので却下され、最近やさぐれ気味。きっとストレスがたまっているんだね。

石田三成(いしだ・みつなり)


「左近ちゃん 見参!」の主人公。

同作ではいいツッコミ役を果たしていたが、作者の「キャラアイコンにしっくりくるのがなかったけえ、家紋にした」という一言のせいで、ここでは活躍の場を与えられないという憂き目に遭う。ごめんな。


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