100話②【変】忠臣蔵といえば東京「泉岳寺」

文字数 1,607文字

しかし、そんなに忠臣蔵が好きなんですか?

ああ。

テレビ番組や映画だけじゃのうて、小説やなんかもいろいろ読んどるわ。

じゃあ、忠臣蔵の登場人物ではだれが好きなんだ?

ほうじゃな。

大石内蔵助……といいたいところじゃが、あれは完璧すぎて、そこまでじゃないのう。

じゃけえ義士の中でいえば、堀部安兵衛の人間味あふれるあたりが好きじゃな。

堀部安兵衛は四十七士の中で随一の腕前だった人でしたっけ?

ああ。

ほうじゃのう。

ついでにいえば、赤穂藩に仕える前の浪人中に、義理の叔父の果し合い「高田馬場の決闘」に助太刀として参加し、見事、敵を討ち果たした猛者なんよ。

赤穂浪士の中で、討ち入り前に実際、人を斬ったことがあるんは、堀部安兵衛だけじゃといわれとるのう。

人を斬って、問題にならなかったんですか?

問題どころか、一躍スーパースターじゃったんで。

なんせ血縁があるならまだしも、血のつながりのない「義理の叔父と甥の盃を交わした関係」でしかない相手の助太刀を名乗り出た上に、一人で敵を3人も切り倒したんじゃからな。

江戸市中は「これぞ誠の武士」と褒めたたえ、赤穂藩のみならず、各藩からこぞって誘いがあったそうな。

で、なんで赤穂藩に仕えたんだ?

安兵衛にほれ込んだ堀部弥兵衛が熱心に口説いたけえよ。

なんせ堀部弥兵衛は当初婿養子にほしいというたんじゃが、安兵衛が「私は父祖の中村家の再興をしなければいけないので、養子にはなれません」と断ってきたんで、弥兵衛は「なら、中村姓のままで十分。おぬしとどうしても父子の契りをかわしたいのじゃ」と言うたんじゃそうな。

それで、どうなったんですか?

いまの現代日本なら問題ないんじゃが、江戸時代はそうはいかん。

なんせ武士は家名でもって、その藩に仕えとるんじゃけえな。

なので、堀部家を継がねば、赤穂藩には仕えられん。

しかし、堀部弥兵衛はその事情を包み隠さず殿様に進言したんよ。

どうやって?
「私の娘は婿取りをせず、中村安兵衛に嫁がせることになりました。なので、堀部家は私の代で絶えるので、代わりに中村安兵衛を雇ってください」というたんじゃ。
それで?

殿様は当然激怒。

当時の感覚としてはこれを許すわけにはいかんけえな。

なので、「ならばいますぐ堀部家を取りつぶしてくれる」というところまでいったんじゃそうな。

とりつぶされたんですか?

ほいじゃったら、堀部安兵衛は誕生しとるまいて。

なので、そのことを聞いた安兵衛は「お殿様の激怒覚悟で進言までするとは! ここまで惚れこまれたのであれば、この上は大人しく堀部家に入ろう!」と思い至って、婿養子となり、堀部安兵衛を名乗るようになったということじゃ。

いい話ですね。

うむ。

なので、堀部安兵衛は四十七士の中でもトップクラスの人気があるのう。

ま、わしとしては四十七士の他に、商人の天野屋利兵衛やら日野家用人の垣見五郎兵衛なんかも好きなんじゃがの。

マニアックすぎてわかんねえよ!!
さすがにそこまでいくと引きますよ!!

ほうかのう。

「そこもとまで罪に問われる」という大石内蔵助のセリフに対する天野屋利兵衛の「天野屋利兵衛は漢でござる」というセリフやら、垣見五郎兵衛の名を語った大石内蔵助の正体を見破った垣見五郎兵衛自身があえて言った「不埒にも名前を語りましたる段、平にご容赦下され」というセリフやらにも、しびれるもんがあるんじゃがのう。


まあ、それはさておいて、泉岳寺は四十七士のほかにも、梅の名所でも知られとるんで、冬の梅見の時期に行くと、またこれはこれで絶景なんで。

たしかに!!
これはこれでありですね!!

ほうじゃろう。

日本人たるもの歴史を愛し、自然を愛でる心を常に持ちたいものよな。

ちょっと、じじくさくねえか?
風流といえや!!
忠臣蔵好きだと、なおさらですね……

ま、まあええ。

そんなわけで赤穂浪士の討ち入りで有名な「泉岳寺」、梅の季節にはそれも見応えがあるんで、みなさんもぜひ一度訪れてみてつかあさい!!

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登場人物紹介

今岡英二公式ツイッター(一日トリビアつぶやき中)



■今岡英二(天使)


最近「小説のキャラよりキャラが立っている」といわれる、同コラボノベルの作者。

無駄に行動力だけはある。

なお、この絵は作者がバンド活動をしていたとき、知り合いのイラストレーターが作成してくれたお気に入りの一枚。現在はバンド活動から離れ、体重が増加したため、ここまでかっこよくはない。


「上京して十数年経つが、広島弁が抜けりゃあせんのう(笑)」とは本人の弁。


■今岡英二(悪魔)


悪魔イラストの割りに、天使と対立しているわけでもない。広島生まれ・広島育ちの根っからのカープファンだが、近年カープが人気しすぎて、年一回の帰省でも現地で野球が見れないのが最近の悩み。


「ええんじゃ。昔の貧乏な頃のカープに比べりゃあのう。みんなが見に来てくれて、潤うようになったカープがありゃあ、それだけでええんじゃ……」とは作者のコメント。

■今岡英二(お守り)


歴史オタク・読書オタク・漫画オタク・勉強オタクな今岡英二の変態担当、作家・ライター担当。自身の小説キャラを辟易とさせるなど、悪魔よりも悪魔っぽい存在。


「なんでそんなことまで知っているんだ」「ふつうそこまで知りませんよ」とキャラにつっこまれても、「勉強したけえの」と言えば大抵のことは許されると思っているなど、余計に性質が悪い。

ニコル・クロムウェル(Nicol=Cromwell)


「Dr.ニコルの検死FILE」の主人公。

作者・今岡英二のつっこみ役A。紳士然とした丁寧な語り口だが、作者に対してはたまに辛辣な物言いを吐く。たぶんストレスがたまっているんだね。

武松(ぶしょう)


「大宋退魔伝」の主人公。

作者・今岡英二のつっこみ役B。そろそろ「左近ちゃん 見参!」の三成にでもつっこみ役を代わってもらいたいと思っているが、同作のキャラアイコンが家紋なので却下され、最近やさぐれ気味。きっとストレスがたまっているんだね。

石田三成(いしだ・みつなり)


「左近ちゃん 見参!」の主人公。

同作ではいいツッコミ役を果たしていたが、作者の「キャラアイコンにしっくりくるのがなかったけえ、家紋にした」という一言のせいで、ここでは活躍の場を与えられないという憂き目に遭う。ごめんな。


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