150話① 佐竹家の居城「秋田・久保田城」

文字数 1,193文字

秋田の名所といえば、やはりまずは久保田城が挙げられようてな。
久保田城?

広島なら広島城、名古屋なら名古屋城、大阪なら大阪城だろ?

だったら秋田なら秋田城じゃねえのか?

それとも東京城じゃなく江戸城のように、

名前が違うだけなんでしょうか?

いや、秋田城は秋田城であるで。

じゃが、久保田城と秋田城ではものがまったく違うんじゃ。

ものが違う?

ああ。

久保田城は一般の認識どおり、江戸時代のお殿様が住んどった城よ。

関ケ原の合戦の後、常陸から転封された佐竹氏が1604年に築いた居城じゃな。

現在天守閣は残っとらんので、あくまで城跡という扱いなんよ。

では、秋田城の方は?

こっちは奈良時代の天平5年(733年)に作られた古代城柵じゃな。

律令国家による統治の拠点として機能したほか、

津軽や蝦夷との交流やら渤海との外交やらで用いられとったそうな。

古いなっ!!

そうなんよ。

なので、久保田城が秋田市内の中心部にその遺構を残しとるのに対して、

秋田城の方はわりと海沿いの郊外の方にあるんじゃ。

成立も機能も位置すらも、まったく別物ってことなんですね。
ま、そういうことじゃな。
で、その久保田城はいま城跡しかないってことだが、実際どんな感じなんだ?

ああ。

城跡とはいうものの、遺構はかなり立派なもんで。

ほれ、これがそうじゃ!!

ほう、たしかに!!
これはけっこう見応えありますね!

ほうじゃろう。

やはり築城当時の縄張りがよかったんじゃろうな。

縄張り?

ああ。

城とかの設計のことをこう呼ぶんじゃ。

当時の殿様・佐竹義宣は旧世代の重臣たちの「攻め込まれにくい防御施設のための城」という主張を退け、若い側近たちの「港町・土崎からも近い、商業の発展を見据えた城」という提案を採用した上で、それでいて堅固な城を築いておるんじゃ。

それはすげえな!
でも、ぱっと見、石垣っぽいものがありませんでしたよね?

ああ。

石垣はない。

代わりに川や山などの自然の地形を巧みに利用して、

商業主義を第一に置きながらも、防御機能も十分備えた城を作ったんよ。

このへんは佐竹義宣の側近・渋江内膳の手腕がいかんなく発揮されたんじゃろうて。

渋江内膳?
だれだ、それ?

佐竹家の新参者で、後に側近から家老となった人物よ。

久保田城の縄張り以外では、検知制度の改革なんかを推し進めて、

農業生産と藩財政の安定に尽力したんじゃ。

これは「渋江田法(しぶえでんほう)」とも呼ばれ、

他藩どころか、はては江戸幕府も農業政策の参考にしたといわれてとるんよ。

すげえ人物なんだな!!

そういうことよ。

ちなみにこの人物に関しては、漫画『寄生獣』や『ヒストリエ』で知られる岩明均先生が描かれた『雪の峠・剣の舞』という短編作品で見ることができるんで、興味ある人はそれを読んでもろうてもええかもしれんな。

単行本1冊なんで、ハードルも低かろうて。

しかし、ほんとなんでも読んでますよね……

勉強したけえな。

はいはい……
はいはい……

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登場人物紹介

今岡英二公式ツイッター(一日トリビアつぶやき中)



■今岡英二(天使)


最近「小説のキャラよりキャラが立っている」といわれる、同コラボノベルの作者。

無駄に行動力だけはある。

なお、この絵は作者がバンド活動をしていたとき、知り合いのイラストレーターが作成してくれたお気に入りの一枚。現在はバンド活動から離れ、体重が増加したため、ここまでかっこよくはない。


「上京して十数年経つが、広島弁が抜けりゃあせんのう(笑)」とは本人の弁。


■今岡英二(悪魔)


悪魔イラストの割りに、天使と対立しているわけでもない。広島生まれ・広島育ちの根っからのカープファンだが、近年カープが人気しすぎて、年一回の帰省でも現地で野球が見れないのが最近の悩み。


「ええんじゃ。昔の貧乏な頃のカープに比べりゃあのう。みんなが見に来てくれて、潤うようになったカープがありゃあ、それだけでええんじゃ……」とは作者のコメント。

■今岡英二(お守り)


歴史オタク・読書オタク・漫画オタク・勉強オタクな今岡英二の変態担当、作家・ライター担当。自身の小説キャラを辟易とさせるなど、悪魔よりも悪魔っぽい存在。


「なんでそんなことまで知っているんだ」「ふつうそこまで知りませんよ」とキャラにつっこまれても、「勉強したけえの」と言えば大抵のことは許されると思っているなど、余計に性質が悪い。

ニコル・クロムウェル(Nicol=Cromwell)


「Dr.ニコルの検死FILE」の主人公。

作者・今岡英二のつっこみ役A。紳士然とした丁寧な語り口だが、作者に対してはたまに辛辣な物言いを吐く。たぶんストレスがたまっているんだね。

武松(ぶしょう)


「大宋退魔伝」の主人公。

作者・今岡英二のつっこみ役B。そろそろ「左近ちゃん 見参!」の三成にでもつっこみ役を代わってもらいたいと思っているが、同作のキャラアイコンが家紋なので却下され、最近やさぐれ気味。きっとストレスがたまっているんだね。

石田三成(いしだ・みつなり)


「左近ちゃん 見参!」の主人公。

同作ではいいツッコミ役を果たしていたが、作者の「キャラアイコンにしっくりくるのがなかったけえ、家紋にした」という一言のせいで、ここでは活躍の場を与えられないという憂き目に遭う。ごめんな。


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