28話① 一棟丸ごと、鹿児島の「天文館むじゃき」

文字数 1,085文字

以前鹿児島市のスポットは桜島か明治維新関連のものしかないって言ってたよな?
おう、言ったのう。
そのわりには今岡先生は何回も鹿児島に行かれてるんですよね?
ああ、逆をいえば、明治維新関連のものはようけ残っとるんでな。そういうのを見に行く価値は十分にあるんよ。
たとえば?
ほうじゃのう。明治維新に功労のあった人物の生誕地や屋敷跡、銅像、墓所、探せばなんぼでもあるもんじゃ。
そういうの見て楽しいんですか?
楽しいし、興味が尽きんな。
言い切りやがった、こいつ……。

では、むしろそういう明治維新関連ではなく、桜島でもない、変わった名所などはありますか?


…………。
お、黙りこくりやがった。さすがにそれはないか。

ないこともないが……。


無理はしなくてもいいぜ。
さすがにちょっと意地悪な質問でしたかね。

……後悔すなよ。

これが「鹿児島、変わり種スポット」じゃ!

これは?
おう、鹿児島市内にある「三島村役場」「十島村役場」じゃ。
このどこが変わり種スポットだよ!
……いえ、武松さん、待ってください。

今岡先生がいま変なことを言いませんでしたか?

変なこと?
さすがニコルじゃの。そこに気づいたか。
ニコル、どういうことなんだ?
なんで違う自治体の十島村と三島村の役場が、鹿児島市内にあるんですか?

あ、そういうことか!


ふっふっふっ、なにを隠そうこの十島村と三島村は鹿児島県内にある離島の自治体なんじゃ。
離島でしたか。
おう、しかもいずれも複数の小さい島からなる自治体なんじゃ。なので、どこかの島に役場をおければそれ以外の島の住民にとっては不公平感がはんぱないんで、いずれにも公平なようにあえて離れた鹿児島市内に村役場を置いとるんよ。
なるほど。
また、それ以外にも、鹿児島に役場を置いておいたほうが、いちいち県や国への陳情のために島と本土との行き来をしなくて済む分、コストが下げられるというメリットもある。
いいことづくめですね。

しかしそうとも限らんのよ。

一番の弱点は村役場の職員のほとんどが、鹿児島市民ということじゃな。


うん? なぜだ?
なぜってお前、離島からいちいち通うわけにも行くまい。じゃけえ、村役場の職員なのに、住所は鹿児島市内にならざるをえないという矛盾をはらんどるんじゃ。おかげで村役場職員がおさめる税金は、鹿児島市のふところにおさめられとるいうわけなんじゃ。
なるほど。皮肉なものですね。
皮肉じゃが、おもしろい話じゃろ?
ああ。……しかしな。
しかし?
しかし、そんなもん見にいくか、ふつう?
行く。
ちょっ……!
一体いつから──────わしがふつうだと錯覚していた?
なん……だと……!!
いや、知っていましたけどね……。

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登場人物紹介

今岡英二公式ツイッター(一日トリビアつぶやき中)



■今岡英二(天使)


最近「小説のキャラよりキャラが立っている」といわれる、同コラボノベルの作者。

無駄に行動力だけはある。

なお、この絵は作者がバンド活動をしていたとき、知り合いのイラストレーターが作成してくれたお気に入りの一枚。現在はバンド活動から離れ、体重が増加したため、ここまでかっこよくはない。


「上京して十数年経つが、広島弁が抜けりゃあせんのう(笑)」とは本人の弁。


■今岡英二(悪魔)


悪魔イラストの割りに、天使と対立しているわけでもない。広島生まれ・広島育ちの根っからのカープファンだが、近年カープが人気しすぎて、年一回の帰省でも現地で野球が見れないのが最近の悩み。


「ええんじゃ。昔の貧乏な頃のカープに比べりゃあのう。みんなが見に来てくれて、潤うようになったカープがありゃあ、それだけでええんじゃ……」とは作者のコメント。

■今岡英二(お守り)


歴史オタク・読書オタク・漫画オタク・勉強オタクな今岡英二の変態担当、作家・ライター担当。自身の小説キャラを辟易とさせるなど、悪魔よりも悪魔っぽい存在。


「なんでそんなことまで知っているんだ」「ふつうそこまで知りませんよ」とキャラにつっこまれても、「勉強したけえの」と言えば大抵のことは許されると思っているなど、余計に性質が悪い。

ニコル・クロムウェル(Nicol=Cromwell)


「Dr.ニコルの検死FILE」の主人公。

作者・今岡英二のつっこみ役A。紳士然とした丁寧な語り口だが、作者に対してはたまに辛辣な物言いを吐く。たぶんストレスがたまっているんだね。

武松(ぶしょう)


「大宋退魔伝」の主人公。

作者・今岡英二のつっこみ役B。そろそろ「左近ちゃん 見参!」の三成にでもつっこみ役を代わってもらいたいと思っているが、同作のキャラアイコンが家紋なので却下され、最近やさぐれ気味。きっとストレスがたまっているんだね。

石田三成(いしだ・みつなり)


「左近ちゃん 見参!」の主人公。

同作ではいいツッコミ役を果たしていたが、作者の「キャラアイコンにしっくりくるのがなかったけえ、家紋にした」という一言のせいで、ここでは活躍の場を与えられないという憂き目に遭う。ごめんな。


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