195話① からあげグランプリ金賞「中津からあげ渓」

文字数 1,367文字

今日は戸越銀座にある、中津からあげの名店を紹介しちゃろうかのう。
中津からあげ、ですか?
名前だけは聞いたことはあるが、どんなのなんだ?

おう。

中津のからあげは、全国のからあげの中でもトップクラスの知名度をほこる代物じゃな。

下味として醤油やショウガ、ニンニクなんかを加えたタレに鶏肉をしっかりつけこんで、それをカラッと揚げてから出しとるんで、それだけで十分旨いいう逸品なんよ。

他のから揚げとどう違うんでしょうか?

ほうじゃな。

一般的なからあげは、あんま下味がついとらんか、ついとってもわりとあっさりめなんが多いんじゃが、中津からあげは下味段階でがっつり味をつけとるいう感じじゃな。

とくにニンニクをはじめとした薬味分が強いおかげで、独特の風味を出しとる。

しかも中津では注文を受けてから、揚げたてを提供するいうところがほとんどじゃけえ、客はからあげの一番旨いタイミングで食うことができるいうものなんじゃ。

ほう、聞いてるだけで旨そうだな!

でも、なんで中津はからあげが有名なんです?

そんなに昔から食べられていたんでしょうか?

いや、食われるようになったのは、戦後からじゃな。

なので、中津藩出身のこのお方は食うとられんはずじゃ。

福澤諭吉!?

ああ。

福澤諭吉は中津藩の出なんで。

もっとも福沢諭吉自身は、大阪の中津藩蔵屋敷で生まれ、没したのは東京じゃけどな。

おいっ!!

とはいえ、父の死去に伴って1歳半で中津藩に戻っとるし、19歳の時に蘭学を学ぶために長崎へ留学しとるんじゃが、それまではずっと中津で過ごしとるけえ、育ち自体は中津いうてもさしつかえないがの。

ま、生まれも育ちも広島で、大学進学を機に上京したわしと大差なかろうて。

比べないでください!!
おこがましいわ!!!
……ひどくね?
ひどくねえよ!!
当然の報いです!!

……ま、まあええ。

で、話を戻すが、中津で鶏肉がよう食われるようになったのは、戦後の食糧難対策として政府が養鶏を推進したことに起因しとるんよ。

食糧難対策ですか?

ああ。

その結果、中津では多くの養鶏場ができてのう。

他の地域より鶏肉が容易に入手できるようになったんじゃ。

で、当初は他の惣菜と一緒に、からあげも出すいう店が多かったんじゃが、中津のからあげの旨さが評判となってな。しまいにはからあげ専門店まで出るようになったんじゃ。

それはすごいですね。
で、2010年には「聖地中津からあげの会」が設立され、ご当地グルメとしてPRされるようになり、現在では中津市内のからあげ店を網羅した「からあげマップ」まで作られ、公的な観光案内でもそのマップが配られよるいうしまつなんじゃ。
マジかっ!!
そこまでしますか!!

おう、中津市民のからあげに対する情熱はハンパじゃないで。

なんせ、1990年にケンタッキーフライドチキンが中津市に出店するも、売り上げ不振で1995年5月に撤退した際には、「ケンタッキーがからあげに負けた!」という噂まで流れたそうなけえな。

からあげ、すげえ!!
ほんとなんですか?

あくまで噂じゃけえ、本当かどうかはわからん。

ま、それから10年以上たった2007年にもう一回出店しとるんじゃが、その店はいまでもあるそうなけえ、一回目はただのリサーチ不足いうこともあるかもしれんがの。

しかし、噂とはいえ、そこまでいわれる中津からあげ……
ハンパねえ存在だな……

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登場人物紹介

今岡英二公式ツイッター(一日トリビアつぶやき中)



■今岡英二(天使)


最近「小説のキャラよりキャラが立っている」といわれる、同コラボノベルの作者。

無駄に行動力だけはある。

なお、この絵は作者がバンド活動をしていたとき、知り合いのイラストレーターが作成してくれたお気に入りの一枚。現在はバンド活動から離れ、体重が増加したため、ここまでかっこよくはない。


「上京して十数年経つが、広島弁が抜けりゃあせんのう(笑)」とは本人の弁。


■今岡英二(悪魔)


悪魔イラストの割りに、天使と対立しているわけでもない。広島生まれ・広島育ちの根っからのカープファンだが、近年カープが人気しすぎて、年一回の帰省でも現地で野球が見れないのが最近の悩み。


「ええんじゃ。昔の貧乏な頃のカープに比べりゃあのう。みんなが見に来てくれて、潤うようになったカープがありゃあ、それだけでええんじゃ……」とは作者のコメント。

■今岡英二(お守り)


歴史オタク・読書オタク・漫画オタク・勉強オタクな今岡英二の変態担当、作家・ライター担当。自身の小説キャラを辟易とさせるなど、悪魔よりも悪魔っぽい存在。


「なんでそんなことまで知っているんだ」「ふつうそこまで知りませんよ」とキャラにつっこまれても、「勉強したけえの」と言えば大抵のことは許されると思っているなど、余計に性質が悪い。

ニコル・クロムウェル(Nicol=Cromwell)


「Dr.ニコルの検死FILE」の主人公。

作者・今岡英二のつっこみ役A。紳士然とした丁寧な語り口だが、作者に対してはたまに辛辣な物言いを吐く。たぶんストレスがたまっているんだね。

武松(ぶしょう)


「大宋退魔伝」の主人公。

作者・今岡英二のつっこみ役B。そろそろ「左近ちゃん 見参!」の三成にでもつっこみ役を代わってもらいたいと思っているが、同作のキャラアイコンが家紋なので却下され、最近やさぐれ気味。きっとストレスがたまっているんだね。

石田三成(いしだ・みつなり)


「左近ちゃん 見参!」の主人公。

同作ではいいツッコミ役を果たしていたが、作者の「キャラアイコンにしっくりくるのがなかったけえ、家紋にした」という一言のせいで、ここでは活躍の場を与えられないという憂き目に遭う。ごめんな。


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