19話① 「左近ちゃん 見参!」の聖地、堺の「かん袋」

文字数 1,316文字

今日は「左近ちゃん 見参!」に登場する茶屋「餡袋屋」のモデルの店を紹介するけえの!

え? なに?

もうはじまってるんですか?

いつもとパターンが違くねえか?

パターン? なにをおかしなこと言うとるんなら。

ぼさっとしとらんで、ちゃんと仕事しんさいや!

お、おう。悪い……。

あ、はい、すいません……。

いつも前説っぽいところからはじめるのに、今日はいきなりなのでちょっとびっくりしてしまって……。

ま、たまには趣向を変えようと思うてな。
で、茶屋「餡袋屋」っていえば、「左近ちゃん 見参!」の第三話の舞台にもなったところですよね?

おう。そこの名物「くるみ団子」自体は、一話の冒頭からも登場しとるがの。


それにモデルなんてあったんですか?
ああ、ちゃんとある。それがここ、今回紹介する「かん袋」じゃ!
モデルってわりには、なんかふつうの店って感じだな。

ふっふっふっ、甘い。甘いのう。

この和菓子屋で出しとる和菓子より、さらに甘いのう。

あ? なにが甘いってんだよ?

たしかにここは建物こそ現代的じゃがな、創業はけっこう古い、堺でも老舗の店なんじゃぞ。


そんなに古いんですか?
江戸時代ぐらいからあるとかか?
そんなもんじゃない。ここは鎌倉時代末期の元徳元年、つまり西暦1329年の創業なんじゃ!
1329年っ……!?
700年近くも前からあるんですか!
おう、三成たちはむろんのこと、秀吉が生まれるさらに前からあったってことなんじゃ。
それはすごいですね。

しかし、なんで「かん袋」って名前なんだ?

あまり和菓子屋って感じがしないんだが。

おう。実はその屋号にはな、「左近ちゃん 見参!」にも登場する秀吉がかかわっとるんじゃ。


秀吉が?
この「かん袋」は、元の屋号を「和泉屋」といったんじゃ。
そっちの方が和菓子屋っぽいですね。
ほうじゃの。で、秀吉が大坂城を建築してる最中、堺の商人たちを大坂城へ招いたんじゃ。
建築中に招くか、ふつう?
当時はまず住むところを建てて、そこに腰を落ち着けてから、徐々に拡張していくっていう手法が一般的じゃったんでな。さしてめずらしいことではないんじゃ。
なるほど。そうなのか。
で、その招かれた中に、和泉屋の主人・和泉屋徳左衛門もおったんじゃが、この徳左衛門が「職人一人一人が瓦をかついで、えっちらおっちらと天守閣へと運ぶ」様子を目撃したんじゃ。
まあ、ふつうの光景なんでしょうね。

おう。じゃが、徳左衛門は思うた。これではいつまで経っても片付かないと。

そこで徳左衛門はその日から、自ら率先して手伝いにくるようになったんじゃ。


えらいですね。
でも、おっさんが一人ぐらい増えたところで大したことねえだろ?

いやいや、さにあらず。

この和菓子屋のおっさん、半端ない腕力の持ち主じゃったんじゃ。

なにしろ毎日、和菓子の餅作りで鍛えられとったけえな。

人の数倍運んだのか?
いや、投げた。
は?
地面から天守閣へ向かって、瓦を次々に投げたんじゃ。

マジかっ!


それ見つかったら、下手する打ち首とかになったんじゃないんですか?
逆なんだよなぁ……。(震え声)
堺筋は堺の町に通じる道筋なので堺筋、一方、堺の商人を多く住まわせて開発したのが船場なので、もしかしたらそこがごっちゃになっとるかもしれませんのう。

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登場人物紹介

今岡英二公式ツイッター(一日トリビアつぶやき中)



■今岡英二(天使)


最近「小説のキャラよりキャラが立っている」といわれる、同コラボノベルの作者。

無駄に行動力だけはある。

なお、この絵は作者がバンド活動をしていたとき、知り合いのイラストレーターが作成してくれたお気に入りの一枚。現在はバンド活動から離れ、体重が増加したため、ここまでかっこよくはない。


「上京して十数年経つが、広島弁が抜けりゃあせんのう(笑)」とは本人の弁。


■今岡英二(悪魔)


悪魔イラストの割りに、天使と対立しているわけでもない。広島生まれ・広島育ちの根っからのカープファンだが、近年カープが人気しすぎて、年一回の帰省でも現地で野球が見れないのが最近の悩み。


「ええんじゃ。昔の貧乏な頃のカープに比べりゃあのう。みんなが見に来てくれて、潤うようになったカープがありゃあ、それだけでええんじゃ……」とは作者のコメント。

■今岡英二(お守り)


歴史オタク・読書オタク・漫画オタク・勉強オタクな今岡英二の変態担当、作家・ライター担当。自身の小説キャラを辟易とさせるなど、悪魔よりも悪魔っぽい存在。


「なんでそんなことまで知っているんだ」「ふつうそこまで知りませんよ」とキャラにつっこまれても、「勉強したけえの」と言えば大抵のことは許されると思っているなど、余計に性質が悪い。

ニコル・クロムウェル(Nicol=Cromwell)


「Dr.ニコルの検死FILE」の主人公。

作者・今岡英二のつっこみ役A。紳士然とした丁寧な語り口だが、作者に対してはたまに辛辣な物言いを吐く。たぶんストレスがたまっているんだね。

武松(ぶしょう)


「大宋退魔伝」の主人公。

作者・今岡英二のつっこみ役B。そろそろ「左近ちゃん 見参!」の三成にでもつっこみ役を代わってもらいたいと思っているが、同作のキャラアイコンが家紋なので却下され、最近やさぐれ気味。きっとストレスがたまっているんだね。

石田三成(いしだ・みつなり)


「左近ちゃん 見参!」の主人公。

同作ではいいツッコミ役を果たしていたが、作者の「キャラアイコンにしっくりくるのがなかったけえ、家紋にした」という一言のせいで、ここでは活躍の場を与えられないという憂き目に遭う。ごめんな。


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