206話① 東京・蒲田の「聖跡蒲田梅屋敷公園」

文字数 992文字

京急蒲田駅の隣の駅に、梅屋敷駅いうのがあるんよ。
変わった名前ですね。
梅屋敷っていう屋敷でもあったのか?

おう、鋭いのう。

その通りなんよ。

マジかっ!!

ああ。

江戸期では、ここいら一帯が梅の名所として知られとってな。

文政年間には、亀戸の臥龍梅と蒲田の梅屋敷がその人気を二分しとったそうなで。

それはすごいですね。
しかし、なんだってここが梅の名所になったんだ?
それはじゃな、幕府の重税にあえいだせいなんよ。
重税?

ああ。

蒲田の農民は重税で苦しんどったんじゃ。

で、米作りの傍らになんかできんかと模索した結果、土地の状態が梅の育成に適しとったそうでな。

みんなこぞって梅を植えたんじゃそうな。

ってことは、もともとは梅の実目的ってことか?

そのとおり。

なので、農民にしてみたら、花はどうでもええもんじゃったそうな。

花より団子ならぬ、花より梅の実ですか。

まあ、そういうことじゃな。

ほいじゃが、その見事な梅の咲きっぷりに観光客がおしよせるようになったそうな。

それでもしばらくは、それで商売をするでもなく、農民らは観光客にただで茶をふるまったりしとったそうなで。

なんとも牧歌的で、いいですね。

ほうじゃな。

で、そのうちに「これで商売ができるんじゃね?」と思う人が登場。

それが梅屋敷を整えた、山本久三郎いう町民じゃということなんよ。

どういう人物なんだ?

山本久三郎は薬屋を営んどったそうなんじゃが、その傍らで梅屋敷を利用した茶屋も経営。

300本植えた梅が見事じゃったことから、茶屋も薬屋もたいそう繁盛したそうなで。

商才があったんでしょうね。
で、これがその梅屋敷の跡いうことよ。
ほう、いまでもあるのか!!
公園になってるんですね!

ああ。

これでも一時期は荒廃しとったそうなんじゃがな。

そうなんですか?

おう。

江戸時代は多くの町民が訪れ、明治期には明治天皇や維新の志士がたびたび訪れたそうなんじゃが、大正期には鉄道や道路工事にやられて、徐々に敷地が削減されてな。

見る影ものうなっとったそうなで。

それは残念なことだな……

ほうじゃろ。

とりわけ明治天皇は9回もここを訪れるほど、梅を愛でとったそうな。

なので、昭和期にはそれを復活させようという機運が高まり、

昭和6年(1939年)にようやく「聖跡蒲田梅屋敷公園」として復活

いまでは再び、都内でも有数の梅の名所として知られとるいうことなんよ。

なるほどな。
ぜひ梅の時期に来たいところですね。

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登場人物紹介

今岡英二公式ツイッター(一日トリビアつぶやき中)



■今岡英二(天使)


最近「小説のキャラよりキャラが立っている」といわれる、同コラボノベルの作者。

無駄に行動力だけはある。

なお、この絵は作者がバンド活動をしていたとき、知り合いのイラストレーターが作成してくれたお気に入りの一枚。現在はバンド活動から離れ、体重が増加したため、ここまでかっこよくはない。


「上京して十数年経つが、広島弁が抜けりゃあせんのう(笑)」とは本人の弁。


■今岡英二(悪魔)


悪魔イラストの割りに、天使と対立しているわけでもない。広島生まれ・広島育ちの根っからのカープファンだが、近年カープが人気しすぎて、年一回の帰省でも現地で野球が見れないのが最近の悩み。


「ええんじゃ。昔の貧乏な頃のカープに比べりゃあのう。みんなが見に来てくれて、潤うようになったカープがありゃあ、それだけでええんじゃ……」とは作者のコメント。

■今岡英二(お守り)


歴史オタク・読書オタク・漫画オタク・勉強オタクな今岡英二の変態担当、作家・ライター担当。自身の小説キャラを辟易とさせるなど、悪魔よりも悪魔っぽい存在。


「なんでそんなことまで知っているんだ」「ふつうそこまで知りませんよ」とキャラにつっこまれても、「勉強したけえの」と言えば大抵のことは許されると思っているなど、余計に性質が悪い。

ニコル・クロムウェル(Nicol=Cromwell)


「Dr.ニコルの検死FILE」の主人公。

作者・今岡英二のつっこみ役A。紳士然とした丁寧な語り口だが、作者に対してはたまに辛辣な物言いを吐く。たぶんストレスがたまっているんだね。

武松(ぶしょう)


「大宋退魔伝」の主人公。

作者・今岡英二のつっこみ役B。そろそろ「左近ちゃん 見参!」の三成にでもつっこみ役を代わってもらいたいと思っているが、同作のキャラアイコンが家紋なので却下され、最近やさぐれ気味。きっとストレスがたまっているんだね。

石田三成(いしだ・みつなり)


「左近ちゃん 見参!」の主人公。

同作ではいいツッコミ役を果たしていたが、作者の「キャラアイコンにしっくりくるのがなかったけえ、家紋にした」という一言のせいで、ここでは活躍の場を与えられないという憂き目に遭う。ごめんな。


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