45話① ご当地バーガー、高知の「5019 PREMIUM FACTORY」

文字数 1,271文字

以前、てめえが高知城の魅力を一時間えんえんと語った高知か……。
いやそうな顔すんなや!
いやにもなるだろ、ふつう!
ふつうじゃないわしに言われても、

なんも響かんわ!!

開き直りやがった、こいつ……。
まともに相手するからですよ。
じゃあ、どうしろっていうんだ!

そうですねぇ……。

では、高知城と明治維新と坂本龍馬が関連しない、

変わったおススメスポットはありますか?

…………。

ほら、詰まったでしょう?

こう聞けばいいんですよ。

さすがに今岡先生でもムダ知識は無限にあるわけじゃあないんですから……。


いや、あるにはあるで。
あるんですか!?
おう、亡霊がきっかけでできた神社とかおもろいかもしれんのう。
ほう、そんなのがあるのか?
仕事柄、興味があるか?
ない……とは、さすがに言い切れねえな。
なら紹介しようかの。

武松は「七人ミサキ」というのを知っとるかの?

いや……、さすがに中国にはそんなのいなかったからな。


探せば似たようなのがおりそうじゃがな。

ざっくり言うと、七人ミサキというのは事故や病で死んだ七人の怨霊のことでな、

夜な夜な七人で彷徨い歩いとるんじゃそうな。

そして、それを見た者は高熱にうなされ、やがて死ぬ。

その死んだ者が新たな七人ミサキとなり、

古い一人が入れ替わって成仏するというんじゃ。


とすると、常に七人ミサキは七人のままというわけですか?
厄介な存在だな。

勝てる気がしねえぜ。

うむ。で、この七人ミサキの元となったのが、

長宗我部元親の甥・吉良親実じゃといわれとるんよ。

実在の人物だったんですか?
ああ。

名君だった元親は嫡男・信親が戦死したときに、

ぼけてしまったとも言われとってな。

四男の盛親に信親の娘、つまり盛親にとっては実の姪にあたる者を嫁がせた上で、

家督を継承しようとしたんじゃ。

めちゃくちゃ近親婚じゃねえか。

そんなことが許されたのか?

いや、ここまでのはあまり例がないな。

近親婚がわりとあった昔でも、実は同腹系統は避ける傾向にあったけえのう。

なのに、同腹系の兄弟の弟と姪を掛け合わせたのは、

信親似の盛親に、さらに信親の血を分けた娘を嫁がせることで、

信親に近しい者を作ろうとしたともいわれとる。

そら、ぼけてるって言われてもおかしかねえな。
真相はわからんが、少なくとも若いころの明晰さは失われとったのう。

その証拠に、それに反対した自身の甥・吉良親実を死に追いやったぐらいじゃからな。

ひでえ話だな……。

で、そのときともに切腹させられた家臣が六人とも七人ともいわれとってな、

これが七人ミサキとなって長曾我部家を祟ったといわれとるんじゃ。


で、その祟りを鎮めるために、神社が建てられたというわけですか。
そういうことじゃの。

ほれ、これがその吉良神社じゃ。

これは……、雰囲気のあるところですね。


いまも成仏してやがるのかどうなのかってところだな。
こればかりはわしにもわからんのう。

ちなみにこの話は、古書である

『老圃奇談』『神威怪異奇談』『土陽陰見奇談』などに見られる話でな、

わりと昔から語られとる物語なんじゃよ。

(ほんと、こいつの無駄知識は……)
(いったいどこに穴があるのやら……)

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登場人物紹介

今岡英二公式ツイッター(一日トリビアつぶやき中)



■今岡英二(天使)


最近「小説のキャラよりキャラが立っている」といわれる、同コラボノベルの作者。

無駄に行動力だけはある。

なお、この絵は作者がバンド活動をしていたとき、知り合いのイラストレーターが作成してくれたお気に入りの一枚。現在はバンド活動から離れ、体重が増加したため、ここまでかっこよくはない。


「上京して十数年経つが、広島弁が抜けりゃあせんのう(笑)」とは本人の弁。


■今岡英二(悪魔)


悪魔イラストの割りに、天使と対立しているわけでもない。広島生まれ・広島育ちの根っからのカープファンだが、近年カープが人気しすぎて、年一回の帰省でも現地で野球が見れないのが最近の悩み。


「ええんじゃ。昔の貧乏な頃のカープに比べりゃあのう。みんなが見に来てくれて、潤うようになったカープがありゃあ、それだけでええんじゃ……」とは作者のコメント。

■今岡英二(お守り)


歴史オタク・読書オタク・漫画オタク・勉強オタクな今岡英二の変態担当、作家・ライター担当。自身の小説キャラを辟易とさせるなど、悪魔よりも悪魔っぽい存在。


「なんでそんなことまで知っているんだ」「ふつうそこまで知りませんよ」とキャラにつっこまれても、「勉強したけえの」と言えば大抵のことは許されると思っているなど、余計に性質が悪い。

ニコル・クロムウェル(Nicol=Cromwell)


「Dr.ニコルの検死FILE」の主人公。

作者・今岡英二のつっこみ役A。紳士然とした丁寧な語り口だが、作者に対してはたまに辛辣な物言いを吐く。たぶんストレスがたまっているんだね。

武松(ぶしょう)


「大宋退魔伝」の主人公。

作者・今岡英二のつっこみ役B。そろそろ「左近ちゃん 見参!」の三成にでもつっこみ役を代わってもらいたいと思っているが、同作のキャラアイコンが家紋なので却下され、最近やさぐれ気味。きっとストレスがたまっているんだね。

石田三成(いしだ・みつなり)


「左近ちゃん 見参!」の主人公。

同作ではいいツッコミ役を果たしていたが、作者の「キャラアイコンにしっくりくるのがなかったけえ、家紋にした」という一言のせいで、ここでは活躍の場を与えられないという憂き目に遭う。ごめんな。


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