154話② B&B「もみじまんじゅう~~!!」

文字数 1,778文字

広島の土産といったら、なにが思い浮かぶかの?
この前は、せんじ肉を紹介されていましたよね?
でも、やっぱ広島土産といったら「もみじまんじゅう」だろうな。

おう、そのとおりよ!

やはりこれが筆頭に挙げられるのう!!

多いなっ!!
もみじまんじゅうは広島人に根付いた菓子じゃけえな。
お土産品としてだけでなく、地元でふつうに食べられているってことですか?

ああ。

なんせ広島人にとってはふつうの茶菓子と一緒じゃけえな。

場所によっては、葬式饅頭ももみじまんじゅうじゃったりするで。

マジかっ!!

おう。

少なくともわしが出た葬式で、そういうところがあった。

地元に根付きすぎだろ……

まあ、しょうがないのう。

広島では土産物屋で売られとると同時に、ふつうにスーパーでも売られとるもんじゃしな。

じゃあ、わりと手ごろな価格なんですか?

ああ。

基本は80~100円ぐらいじゃな。

安っ!!

で、生もみじやら変わり種のもみじまんじゅうは、そこに若干のプレミアム価格がついとったりするんじゃが、それでも120~150円ぐらいのもんじゃけえな。

基本的にどこでも小分けが売っとるんで、手が出しやすいこと、この上ないんじゃ。

ちなみに今回は「にしき堂」「やまだ屋」のを買うとるんじゃが、そこに「藤井屋」を加えたのが、「もみじまんじゅう御三家」といわれとるんよ。

それ以外にもまだあるのか?

ああ。

もみじまんじゅうの大手は、6~8社ともいわれとるんじゃが、「もみじまんじゅう」自体はもともとは宮島の土産もんで、それこそ個人店が個別に作っておったもんじゃけえな。いまはだいたい20社ぐらいが作りよるそうなで。

わりと多いんだな。

でも、なんでそんなにメーカーがあるんでしょうか?

最初に作った人が商標登録とかしなかったんでしょうか?

いや、一応はしたんで。

ただ、最初の考案者・高津常助が職人気質な上に、宮島の菓子組合のお偉いさんも務めとる人じゃっただけに、「もみじまんじゅうを独占せず、宮島全体の土産物として流行らせたい」として、商標登録の更新をせんかったんじゃ。

なので、それ以降は誰もがもみじまんじゅうを作れるようになったそうな。

いい話ですね。
それっていつ頃の話なんだ?
高津常助さんが明治の晩年の人で、その商標登録が切れたのは、昭和5年の話じゃな。
戦前かよ!!

うむ。

なので昭和以降、もみじまんじゅうは宮島中にひろまったということなんじゃ。

なお、高津さんの二代目は、職人気質の親父さんに「技術や味は盗むもの」ということで一切レシピを教えてもらっておらんかったけえ、「親父の名を汚したくない」として一旦はもみじまんじゅう屋を廃業。その後、孫にあたる三代目が「元祖もみじまんじゅうの店」として高津堂を復活させたという話もあるんよ。

その店はどうなんだ?

目立つところに建ってないんで、めっちゃ繁盛しとるいうわけじゃないが、さすが元祖だけあって、なかなかにいい味を出しとるで。わしも何度か買いに行ったことがあるわ。

さすが今岡先生、そういうのも外しませんね……

当然よ。

ちなみにもみじまんじゅうの由来には、有名な俗説もあるんで。

俗説?
ああ、このネーミングには初代総理大臣・伊藤博文のセクハラがかかわっておったというもんじゃな。
総理大臣のセクハラ!?

伊藤博文は女好きで有名じゃったそうでな。

ある日、茶屋で休憩しとったら、その茶屋の娘の手を見て、

「なんと可愛らしい、もみじのような手であろう。焼いて食うたらさぞ美味しかろう」

と言ったそうな。

で、その話を伝え聞いたまんじゅう屋が、それをヒントにもみじまんじゅうを作ったとのことじゃ。

マジかっ!?

公式のエピソードとして残っとらんけえ、ことの真偽は定かではない。

じゃが、もみじまんじゅうメーカー2位の「やまだ屋」がこの話を紹介しとったり、宮島観光協会がもみじまんじゅうの由来として紹介しとったりと、わりと地元では知られとる話なんよ。

ま、そういう話があったとしてもおかしくないものとして、伊藤博文の女好きは当時十分に知られとったいうことなんじゃろうな。

いまでは軽く事件になるでしょうね。
古き良き時代じゃったいうことかの。
しかし、ほんとなんでも知ってんな……
勉強したけえな。
はいはい……
はいはい……
そんなわけで広島を代表する和菓子「もみじまんじゅう」、みなさんも広島に行かれた際はぜひ一度ご賞味つかあさい!!

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登場人物紹介

今岡英二公式ツイッター(一日トリビアつぶやき中)



■今岡英二(天使)


最近「小説のキャラよりキャラが立っている」といわれる、同コラボノベルの作者。

無駄に行動力だけはある。

なお、この絵は作者がバンド活動をしていたとき、知り合いのイラストレーターが作成してくれたお気に入りの一枚。現在はバンド活動から離れ、体重が増加したため、ここまでかっこよくはない。


「上京して十数年経つが、広島弁が抜けりゃあせんのう(笑)」とは本人の弁。


■今岡英二(悪魔)


悪魔イラストの割りに、天使と対立しているわけでもない。広島生まれ・広島育ちの根っからのカープファンだが、近年カープが人気しすぎて、年一回の帰省でも現地で野球が見れないのが最近の悩み。


「ええんじゃ。昔の貧乏な頃のカープに比べりゃあのう。みんなが見に来てくれて、潤うようになったカープがありゃあ、それだけでええんじゃ……」とは作者のコメント。

■今岡英二(お守り)


歴史オタク・読書オタク・漫画オタク・勉強オタクな今岡英二の変態担当、作家・ライター担当。自身の小説キャラを辟易とさせるなど、悪魔よりも悪魔っぽい存在。


「なんでそんなことまで知っているんだ」「ふつうそこまで知りませんよ」とキャラにつっこまれても、「勉強したけえの」と言えば大抵のことは許されると思っているなど、余計に性質が悪い。

ニコル・クロムウェル(Nicol=Cromwell)


「Dr.ニコルの検死FILE」の主人公。

作者・今岡英二のつっこみ役A。紳士然とした丁寧な語り口だが、作者に対してはたまに辛辣な物言いを吐く。たぶんストレスがたまっているんだね。

武松(ぶしょう)


「大宋退魔伝」の主人公。

作者・今岡英二のつっこみ役B。そろそろ「左近ちゃん 見参!」の三成にでもつっこみ役を代わってもらいたいと思っているが、同作のキャラアイコンが家紋なので却下され、最近やさぐれ気味。きっとストレスがたまっているんだね。

石田三成(いしだ・みつなり)


「左近ちゃん 見参!」の主人公。

同作ではいいツッコミ役を果たしていたが、作者の「キャラアイコンにしっくりくるのがなかったけえ、家紋にした」という一言のせいで、ここでは活躍の場を与えられないという憂き目に遭う。ごめんな。


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