83話② 【変】蕨市の旧領主の菩提寺「宝樹院」

文字数 957文字

で、その領主のお墓ってわりと近いところにあるんですか?
さっき紹介した蕨城跡から歩いて10分ぐらいいうところかのう。
近いような遠いような微妙な距離ですね……
せめてもうちょっと城跡の近くに建てられなかったもんなのか?

無理じゃな。

なんせ墓ができたんは、その最後の領主・渋川義基公が死んでから、

250年もあとの話じゃけえのう。

遅っ!?

なんで、そんなに時間が経ったんですか?

さっきも言うたように、渋川家は最後離散状態になったけえなんよ。

その一族や家臣団もバラバラ。

中には帰農したり、中には他の豪族に仕えたりしたけえな。

そういうのもあって、末期では統率らしい統率がとれとらんかったんじゃ。

マジか……

じゃが、その家臣団の子孫が江戸時代に入って、

「旧領主である渋川公の墓を立てよう」と言いだして、

1816年(文化13年)にようやく立てられたということなんじゃ。

文化年間は江戸幕府11代将軍・徳川家斉の時代じゃけえ、

江戸時代も後期ってところじゃな。

で、これがその菩提寺・宝樹院よ!!

けっこう立派な寺だな!

お墓もちゃんとしたものですね!

ほうじゃろ。

250年後に作ったものじゃが、

そのぶんしっかりと作られたということなんよ。

しかし、なんで江戸時代に入って、作られたんです?

旧領主の墓とか幕府に遠慮して、あまり作られないような気もするんですが……

ひとつは江戸時代に入ってから「忠孝」の考え方が深く根付いたいうのがあるのう。

むしろ旧恩を忘れんという姿勢が高く評価された時代じゃったいうことじゃな。

で、もうひとつは、他の豪族に仕えた旧家臣の中で、とりわけ出世した者がおったいうのも大きいじゃろうな。

出世した者?
誰ですか?

渋川家の重臣に板倉頼重というのがおったんじゃ。

で、この子孫にあたるんが、江戸幕府で京都所司代を務めた譜代大名・板倉勝重なんじゃ。

マジかっ!?

ああ。

以降、板倉家は備中松山藩を領有した他、

上野安中藩、陸奥福島藩、備中庭瀬藩などいくつかの分家も作った上で

それぞれ幕末まで続いたけえな。

4つも大名家が動けば、そりゃ立派な墓もできようて。

なるほど。

そういうことだったんだな。

そんなわけで、戦国時代初期に威容を誇った「蕨城跡」に、旧領主・渋川公の菩提寺「宝樹院」、みなさんも蕨市に行かれることがあったらぜひ一度訪れてみてつかあさい!!

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登場人物紹介

今岡英二公式ツイッター(一日トリビアつぶやき中)



■今岡英二(天使)


最近「小説のキャラよりキャラが立っている」といわれる、同コラボノベルの作者。

無駄に行動力だけはある。

なお、この絵は作者がバンド活動をしていたとき、知り合いのイラストレーターが作成してくれたお気に入りの一枚。現在はバンド活動から離れ、体重が増加したため、ここまでかっこよくはない。


「上京して十数年経つが、広島弁が抜けりゃあせんのう(笑)」とは本人の弁。


■今岡英二(悪魔)


悪魔イラストの割りに、天使と対立しているわけでもない。広島生まれ・広島育ちの根っからのカープファンだが、近年カープが人気しすぎて、年一回の帰省でも現地で野球が見れないのが最近の悩み。


「ええんじゃ。昔の貧乏な頃のカープに比べりゃあのう。みんなが見に来てくれて、潤うようになったカープがありゃあ、それだけでええんじゃ……」とは作者のコメント。

■今岡英二(お守り)


歴史オタク・読書オタク・漫画オタク・勉強オタクな今岡英二の変態担当、作家・ライター担当。自身の小説キャラを辟易とさせるなど、悪魔よりも悪魔っぽい存在。


「なんでそんなことまで知っているんだ」「ふつうそこまで知りませんよ」とキャラにつっこまれても、「勉強したけえの」と言えば大抵のことは許されると思っているなど、余計に性質が悪い。

ニコル・クロムウェル(Nicol=Cromwell)


「Dr.ニコルの検死FILE」の主人公。

作者・今岡英二のつっこみ役A。紳士然とした丁寧な語り口だが、作者に対してはたまに辛辣な物言いを吐く。たぶんストレスがたまっているんだね。

武松(ぶしょう)


「大宋退魔伝」の主人公。

作者・今岡英二のつっこみ役B。そろそろ「左近ちゃん 見参!」の三成にでもつっこみ役を代わってもらいたいと思っているが、同作のキャラアイコンが家紋なので却下され、最近やさぐれ気味。きっとストレスがたまっているんだね。

石田三成(いしだ・みつなり)


「左近ちゃん 見参!」の主人公。

同作ではいいツッコミ役を果たしていたが、作者の「キャラアイコンにしっくりくるのがなかったけえ、家紋にした」という一言のせいで、ここでは活躍の場を与えられないという憂き目に遭う。ごめんな。


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