82話② 【レア】日本最古の神社の一つ「日前宮」

文字数 1,411文字

さっき紹介された境内もなかなかのものでしたけど、本番はこれからなんですか?

ああ。

さっきいろいろ見せたお社は、あくまで境内におかれとる摂社・末社じゃけえな。

摂社・末社?

ああ。

ある程度大きい神社には、小さい神社がちょこんとおかれとるじゃろ。

あれが摂社・末社というわけなんよ。

境内にあれば境内社ともいうし、境外にあれば境外社ともいうというわけじゃな。

なるほどな。
では、その本殿ってどんなものなんですか?

おう。

これがその日前神宮と國懸神宮の本殿よ!!

思ったよりしょぼい!!

そこそこ大きいですが、あまりきれいでもないですね……

境内がかなり雰囲気があっただけに、かえってこれは拍子抜けというか……

この良さがわからんとは、まだまだよのう……

新しけりゃ、ええいうもんでもない。

派手でありゃあ、ええいうもんでもないんで。

いや、まあ、そうかもしれませんが……

だいたいここに収められとるご神体はそれこそ歴史上のものでもあるんで。

それだけ由緒ある神社いうことなんじゃ。

歴史上のもの?
なんだそれは?
たとえばじゃが、天岩戸の伝説を知っとるか?

ええ。

たしか天照大御神(アマテラス)須佐之男命(スサノオ)の悪行に腹を立てて、天岩戸の中に隠れたっていうストーリーでしたっけ?

で、世界が闇に包まれたっていう話だったよな?
よう、知っとるのう。
てめえが『古事記』『日本書紀』を読んで、さんざん聞かせたんだろうが……

ほうじゃったかのう?

まあ、ええわ。

よかねえよ!!
で、天宇受賣命(アメノウズメ)が天岩戸の前で踊り、他の神々がどんちゃん騒ぎをして、その様子が気になった天照大御神が少しだけ開けたところ、天手力男神(アメノタヂカラオ)がそれを一気にこじ開けたというわけなんじゃ。
無理やり話を進めやがった……
まあ、以前聞いた話はそんな感じでしたね。
これはざっとかいつまんだところなわけなんじゃが、実はこれ天宇受賣命が躍って、神々がどんちゃん騒ぎしたのは「天照大御神以上の神が来たため、その歓迎の宴会を開いている」と天照大御神をだますための作戦だったんよ。
そうだったのか……

で、天照大御神がその神を一目見ようと少し開けた際、すぐこじ開けたんじゃのうて、

一旦は鏡を見せて、天照大御神をさらにだますいう作戦もとっとるんじゃ。

そのとき使われたのが、いまでも伊勢神宮に収められとる「八咫鏡(やたのかがみ)」ということなんじゃ。

あれ?

八咫鏡って天皇家に伝わる三種の神器の一つじゃなかったんでしたっけ?

ほうじゃな。

ただ、あれは伊勢神宮の八咫鏡をもとにして作られたもの。

いわばレプリカというわけなんじゃ。

もっともレプリカいうても、これはこれでかなりの歴史ものじゃがな。

で、その八咫鏡と日前宮のご神体がどう関係するんだ?

ああ。

『日本書紀』によればその八咫鏡が作られる前に、試験的に二枚の鏡が作られとるんよ。

その二枚の鏡こそが、日前神宮の「日像鏡」と國懸神宮の「日矛鏡」というわけなんじゃ!


マジかっ!?

うむ。

つまり八咫鏡と同じ伝説を持つ鏡が収められとるいうわけなんじゃ。

これだけでもこの日前神宮・國懸神宮のすごさがわかろういうもんじゃて。

たしかに……

ま、さすがにそのご神体は拝めんが、この境内や本殿は十分一見の価値があろうて。


そんなわけで日本でもっとも歴史ある神社である日前神宮と國懸神宮の二つが一気に拝める「日前宮」、みなさんも和歌山に行かれた際はぜひ一度足を運んでみてつかあさい!!

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登場人物紹介

今岡英二公式ツイッター(一日トリビアつぶやき中)



■今岡英二(天使)


最近「小説のキャラよりキャラが立っている」といわれる、同コラボノベルの作者。

無駄に行動力だけはある。

なお、この絵は作者がバンド活動をしていたとき、知り合いのイラストレーターが作成してくれたお気に入りの一枚。現在はバンド活動から離れ、体重が増加したため、ここまでかっこよくはない。


「上京して十数年経つが、広島弁が抜けりゃあせんのう(笑)」とは本人の弁。


■今岡英二(悪魔)


悪魔イラストの割りに、天使と対立しているわけでもない。広島生まれ・広島育ちの根っからのカープファンだが、近年カープが人気しすぎて、年一回の帰省でも現地で野球が見れないのが最近の悩み。


「ええんじゃ。昔の貧乏な頃のカープに比べりゃあのう。みんなが見に来てくれて、潤うようになったカープがありゃあ、それだけでええんじゃ……」とは作者のコメント。

■今岡英二(お守り)


歴史オタク・読書オタク・漫画オタク・勉強オタクな今岡英二の変態担当、作家・ライター担当。自身の小説キャラを辟易とさせるなど、悪魔よりも悪魔っぽい存在。


「なんでそんなことまで知っているんだ」「ふつうそこまで知りませんよ」とキャラにつっこまれても、「勉強したけえの」と言えば大抵のことは許されると思っているなど、余計に性質が悪い。

ニコル・クロムウェル(Nicol=Cromwell)


「Dr.ニコルの検死FILE」の主人公。

作者・今岡英二のつっこみ役A。紳士然とした丁寧な語り口だが、作者に対してはたまに辛辣な物言いを吐く。たぶんストレスがたまっているんだね。

武松(ぶしょう)


「大宋退魔伝」の主人公。

作者・今岡英二のつっこみ役B。そろそろ「左近ちゃん 見参!」の三成にでもつっこみ役を代わってもらいたいと思っているが、同作のキャラアイコンが家紋なので却下され、最近やさぐれ気味。きっとストレスがたまっているんだね。

石田三成(いしだ・みつなり)


「左近ちゃん 見参!」の主人公。

同作ではいいツッコミ役を果たしていたが、作者の「キャラアイコンにしっくりくるのがなかったけえ、家紋にした」という一言のせいで、ここでは活躍の場を与えられないという憂き目に遭う。ごめんな。


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