108話① 江戸情緒あふれる「倉敷美観地区」

文字数 1,298文字

岡山の倉敷で見るべきところいうたら、なんじゃあ思う?
いろいろあるから、きりがねえな……
しいてあげるなら、街並みってところでしょうか……?

ほうじゃな。

倉敷の美観地区が一番の見どころじゃな。

それでいいのかよ!!

おう。

実際、あの街並み自体が、国の重要伝統的建造物群保存地区として選定されとるんじゃ。

なので、あのへん一帯は法律できちっと守られとるいうことなんよ。

そういうのって、あまり選定されないものなんですか?

ほうじゃのう。

一応、国が認めたもんじゃからな。

現在は43道府県98市町村の118地区が選定されとるわけなんじゃが、逆にいえば、東京や神奈川みたいに一つも選定されとらんところもあるけえ、選定されるだけでも十分価値があるもんじゃろうて。

で、これがその価値ある「倉敷美観地区」というわけじゃ!

見事なもんだな!
保存地区として選定されるのも、うなずけますね!

ほうじゃろ。

いまでも岡山県内、名うての観光名所じゃけえな。

しっかし、なんでまた倉敷はそんな街並みが残ってたんだ?

それはあれじゃな。

もともと倉敷が天領じゃったけえなんよ。

天領?

おう。

特定の藩主がおらん、徳川幕府の直轄領のことよ。

で、天領じゃったんで、城なんかの代わりに代官所がおかれとったわけなんじゃが、ここが年貢米の集積地となったことで、周辺の商人も自然と集まってきたんじゃ。

しかも、代官がその商人たちに自治権を認める優遇策を実施したことで、さらに商人たちが増え、町として大きく発展することになったというわけなんよ。

経済政策が上手くいった、ということですね。

そういうことじゃな。

なので、倉敷の人らは「天領」であることに誇りを持ち、

いまでも「倉敷天領夏まつり」いうお祭りを開催しとるんじゃ。

それはそれで楽しそうだな。

おう、なかなかに楽しいもんで。

もっとも、江戸時代の人らは「天領」とは呼んでなかったんじゃがな。

じゃあ、なんて呼んでたんですか?

正式には、「御料」とか「御領」じゃな。

ちなみにもっといえば、実は「薩摩藩」とか「仙台藩」いう呼び方もしとらんかったんで。

マジかっ!?

おう。

さっきの天領も藩も、実は明治に入ってから付けられた歴史用語にすぎんけえな。

じゃあ、藩のことはなんて呼んでいたんでしょうか?

その大名の名字を当てた「●●家」か、地名を使った「●●領」じゃな。

たとえば仙台の伊達政宗を例に出せば、よく時代劇のナレーションではその領地のことを「仙台藩」といったりしとるが、実際には「伊達家」か「仙台領」が正しいいうわけなんよ。

ややこしいな……

まあ、しょうがなかろうな。

なんせあの当時は、藩全体が幕府に仕えているという認識ではなく、あくまで大名個人が江戸幕府に従っているという認識じゃったんじゃ。

なので、幕府からの書状も、あくまでその大名個人に宛てられて出されとったんじゃけえな。

当時の支配体制は、「江戸幕府という組織の下に、各藩という下部組織がある」という形ではなく、名目上はあくまで「将軍家に各大名家が従う」もしくは「将軍個人に大名個人が従う」という形式じゃったいうわけなんよ。

しかし、ほんとよく知ってますね。
勉強したけえな。
はいはい……

ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)
※これは自由参加コラボです。誰でも書き込むことができます。

※コラボに参加するためにはログインが必要です。ログイン後にセリフを投稿できます。

登場人物紹介

今岡英二公式ツイッター(一日トリビアつぶやき中)



■今岡英二(天使)


最近「小説のキャラよりキャラが立っている」といわれる、同コラボノベルの作者。

無駄に行動力だけはある。

なお、この絵は作者がバンド活動をしていたとき、知り合いのイラストレーターが作成してくれたお気に入りの一枚。現在はバンド活動から離れ、体重が増加したため、ここまでかっこよくはない。


「上京して十数年経つが、広島弁が抜けりゃあせんのう(笑)」とは本人の弁。


■今岡英二(悪魔)


悪魔イラストの割りに、天使と対立しているわけでもない。広島生まれ・広島育ちの根っからのカープファンだが、近年カープが人気しすぎて、年一回の帰省でも現地で野球が見れないのが最近の悩み。


「ええんじゃ。昔の貧乏な頃のカープに比べりゃあのう。みんなが見に来てくれて、潤うようになったカープがありゃあ、それだけでええんじゃ……」とは作者のコメント。

■今岡英二(お守り)


歴史オタク・読書オタク・漫画オタク・勉強オタクな今岡英二の変態担当、作家・ライター担当。自身の小説キャラを辟易とさせるなど、悪魔よりも悪魔っぽい存在。


「なんでそんなことまで知っているんだ」「ふつうそこまで知りませんよ」とキャラにつっこまれても、「勉強したけえの」と言えば大抵のことは許されると思っているなど、余計に性質が悪い。

ニコル・クロムウェル(Nicol=Cromwell)


「Dr.ニコルの検死FILE」の主人公。

作者・今岡英二のつっこみ役A。紳士然とした丁寧な語り口だが、作者に対してはたまに辛辣な物言いを吐く。たぶんストレスがたまっているんだね。

武松(ぶしょう)


「大宋退魔伝」の主人公。

作者・今岡英二のつっこみ役B。そろそろ「左近ちゃん 見参!」の三成にでもつっこみ役を代わってもらいたいと思っているが、同作のキャラアイコンが家紋なので却下され、最近やさぐれ気味。きっとストレスがたまっているんだね。

石田三成(いしだ・みつなり)


「左近ちゃん 見参!」の主人公。

同作ではいいツッコミ役を果たしていたが、作者の「キャラアイコンにしっくりくるのがなかったけえ、家紋にした」という一言のせいで、ここでは活躍の場を与えられないという憂き目に遭う。ごめんな。


ビューワー設定

背景色
  • 生成り
  • 水色