71話② 【変】東京の珍スポット「東京大仏」

文字数 1,551文字

ちなみにこの寺には、他にもめずらしいのがあるんじゃ。

たとえばこれ、「天保飢饉供養塔」

天保の大飢饉は江戸末期に起きたもんで、

これは板橋宿で亡くなった人々を埋葬・供養した際に建てられたものじゃ。

なので、江戸期に建てられたものいうことで

板橋区の文化財に指定されとるんじゃ。

歴史的なものということですね。

うむ。

歴史的なもんといえば、

これらも忘れちゃあいけんのう。

そう、乗蓮寺がほこる謎の石像群じゃ!

これは「文殊菩薩像」
これは「鉄拐仙人像」

これは「役行者像」

これは「奪衣婆像」

これは「がまんの鬼像」
ちょ、ちょっと待て!!
なんで、こんな変な石像がいっぱいあるんですか?
そして、これのどこが歴史的なもんなんだ!?

ああ、これか。

これはもともと津藩藤堂家下屋敷(染井屋敷)にあったものなんじゃ。

津藩藤堂家下屋敷?

ああ。

いまの豊島区駒込付近にあったといわれとるのう。

で、そこにあった石像が昭和42年に乗蓮寺へ寄贈されたんよ。

なので、これら石像は江戸期のものいうことがわかるわけなんじゃ。

マジか……

あげる方もあげる方なら、

もらう方ももらう方ですね……

ま、そのぶんこの寺の見どころが増えたわけじゃけえ、

わしとしては問題ないがの。

しかし、さっき乗蓮寺という名前があまり知られてないって言ってましたよね?

おう。

東京大仏の方がとおりがええと言うたな。

でも、そのわりにはこのお寺の名前、

どこかで聞いた覚えがあるんですが……

ああ。

それはたぶん初詣ベビーカー問題で聞いたんじゃろうて。

ベビーカー?

うむ。

もともとこの寺はベビーカーの参拝を優遇しとったんじゃ。

毎年初詣客が多いお寺なんじゃが、

ベビーカーを押しとる人とその家族は

ならばんでも入れるいうルールがあったんじゃ。

いいことじゃないですか?

しかし、それを逆手にとって、

もうベビーカーを卒業しとっても

あえて初詣のときだけベビーカーを押してくる客が増えたんじゃ。

マジかっ!?

しかも家族の人数制限はなかったけえな。

一台だけ押して、あとはぞろぞろいう構図がまかりとおったんじゃ。

最悪ですね……

で、トラブルが頻発しとったところに、

とうとうベビーカーでつまずいて参拝者に怪我人がでる事態になったんじゃ。

この結果、警察からはベビーカー自粛の要請があり、

2017年に「ベビーカーご利用自粛のお願い」の看板が出るようになったんよ。

なるほどな。

で、当時はワイドショーでけっこうさわがれたもんなんじゃ。

たぶんそのときに、この寺の名前を耳にしたんじゃろうな。

かもしれませんね。

ちなみにワイドショーでは当初、

ベビーカー自粛を訴えた寺への批判が多かったんじゃが、

次第にその経緯が知られ、批判は下火になっていったもんよ。

当然っていえば、当然だな。

ま、よう調べもせんと、はじめ寺を批判しとった報道各社の姿勢は

さすがにどうかと思ったもんじゃがな。

ちいと調べりゃわかることなんじゃけえ、

しっかり調べてから報道せえ!

ニュースソースぐらい自分の足と目で確かめえ!!

ちなみにベビーカーに関して、

今岡先生はどう思ってるんですか?

うん?

ほうじゃなぁ。


こういうもんはお互いにマナーを守って、

お互いのことを思いやっておれば問題にもならんことじゃろうじゃ。

わしは駅の階段付近で一人ベビーカーを押しとる人がおりゃあ

積極的に「持ちましょうか?」と話しかけるし、

電車の中でベビーカーほったらかしでスマホいじりに夢中になっとる人には

冷ややかな視線をあびせる

すべてはお互いの気遣い一つじゃろうて。

てめえの冷ややかな視線か……
さぞかし威力あるでしょうね……
話ひろうところ、そっちか……?
日頃の行いだ。
しょうがないでしょ?

ま、まぁ、ええ。


そんなわけで意外と知られていない珍スポット「東京大仏」、みなさんもぜひ一度足を運んでみてつかあさい!!

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登場人物紹介

今岡英二公式ツイッター(一日トリビアつぶやき中)



■今岡英二(天使)


最近「小説のキャラよりキャラが立っている」といわれる、同コラボノベルの作者。

無駄に行動力だけはある。

なお、この絵は作者がバンド活動をしていたとき、知り合いのイラストレーターが作成してくれたお気に入りの一枚。現在はバンド活動から離れ、体重が増加したため、ここまでかっこよくはない。


「上京して十数年経つが、広島弁が抜けりゃあせんのう(笑)」とは本人の弁。


■今岡英二(悪魔)


悪魔イラストの割りに、天使と対立しているわけでもない。広島生まれ・広島育ちの根っからのカープファンだが、近年カープが人気しすぎて、年一回の帰省でも現地で野球が見れないのが最近の悩み。


「ええんじゃ。昔の貧乏な頃のカープに比べりゃあのう。みんなが見に来てくれて、潤うようになったカープがありゃあ、それだけでええんじゃ……」とは作者のコメント。

■今岡英二(お守り)


歴史オタク・読書オタク・漫画オタク・勉強オタクな今岡英二の変態担当、作家・ライター担当。自身の小説キャラを辟易とさせるなど、悪魔よりも悪魔っぽい存在。


「なんでそんなことまで知っているんだ」「ふつうそこまで知りませんよ」とキャラにつっこまれても、「勉強したけえの」と言えば大抵のことは許されると思っているなど、余計に性質が悪い。

ニコル・クロムウェル(Nicol=Cromwell)


「Dr.ニコルの検死FILE」の主人公。

作者・今岡英二のつっこみ役A。紳士然とした丁寧な語り口だが、作者に対してはたまに辛辣な物言いを吐く。たぶんストレスがたまっているんだね。

武松(ぶしょう)


「大宋退魔伝」の主人公。

作者・今岡英二のつっこみ役B。そろそろ「左近ちゃん 見参!」の三成にでもつっこみ役を代わってもらいたいと思っているが、同作のキャラアイコンが家紋なので却下され、最近やさぐれ気味。きっとストレスがたまっているんだね。

石田三成(いしだ・みつなり)


「左近ちゃん 見参!」の主人公。

同作ではいいツッコミ役を果たしていたが、作者の「キャラアイコンにしっくりくるのがなかったけえ、家紋にした」という一言のせいで、ここでは活躍の場を与えられないという憂き目に遭う。ごめんな。


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