31話① ランチもいける、高知の居酒屋「酒亭どんこ」

文字数 1,422文字

以前、高知は鹿児島並みに明治維新推しだと言ってたよな?
おう。鹿児島ほど明治維新一色じゃありゃあせんが、坂本龍馬単独でカテゴリーを作るという面があるなど、負けず劣らずの明治維新推しではあるのう。
じゃあ、明治維新や坂本龍馬以外で、なにか見るべきものはあるのか?
ああ、あるにはあるで。
それは?
四国八十八箇所巡りじゃの。
あ~、それがあったか。
うむ。実は鹿児島ほどじゃないにしろ、土佐・高知も「廃仏毀釈(はいぶつきしゃく)」が盛んだった地域でな。一時期は八十八箇所巡りの寺ですら、廃寺に追い込まれるほどだったんじゃがの。
八十八箇所巡りですら!?
ああ、四国はわりと廃仏毀釈が盛んではなかったんで、他の県ではそこまでの事態にはなっとらんのじゃが、土佐は薩摩や長州とともに明治維新を進めた土地柄なんでな。どうしてもそうせざるを得なかったんじゃろうて。
もったいない話ですね……。
いつの時代でも、昔の文化財をないがしろにするような真似はいけんよのう。
で、結局、高知には明治維新関連と八十八箇所巡りぐらいしかないのか?

いや、長曾我部元親関連の史跡や高知城など、見るべきものは多いぞ。

とくに高知城なんぞは、おススメの城でもあるんじゃ。

これがそうじゃ!

ほう、これは見事なもんだな。

そうですね。

変わりものばかりを勧めてくる今岡先生にしては、めずらしく王道といえるでしょう。


お前、わしをなんじゃと思っとるんなら。(震え声)
ある意味事実だからしょうがねえだろ。
キャラたちが最近冷たい……。(滂沱の涙)

さんざん苦労させられましたからね。

で、高知城のおススメポイントは?

ほうじゃのう。高知城のええところは、まず現存十二天守の1つ、いうところかの。


現存十二天守?


おう。本来、お城というんは、石垣や土塁を含めたものをいうんであって、建物の有無でいうもんじゃないんじゃ。
そうなんですか?
ああ。みんながお城お城いうとるんは、正確には「天守」「天守閣」の部分なんじゃ。
なるほど。
で、この天守の部分が、江戸時代から残っとるのは、わずか十二か所しかないんじゃ。それらを総称して「現存十二天守」というんよ。
それだけの価値があるということなんですね。

ほうじゃのう。

くわえて高知城は天守だけじゃのうて、追手門まで残っとる。

天守と追手門が両方残っとるんは、現存十二天守の中でも弘前城・丸亀城・高知城の三つだけなんじゃよ。

全国でもたった三つか。

そりゃ価値があるわけだな。


いや、まだまだ。
まだまだ?
おう、実は高知城には本丸御殿まで残っとるんじゃ。天守と追手門に加えて本丸御殿まで残っとるんは、もうこの高知城しかないんじゃ!

なるほど。

お前さんが一押しに挙げるわけだな。

おう。個人的には、石垣が崩れる前の熊本城に次ぐ、全国でも二番目に見るべき城じゃと思っとるよ。

姫路城よりもですか?


あれはあれで素晴らしいがの。

引きで見るなら姫路城、近くで見るなら高知城ってところかの。

わしは近くで見たい方じゃけえ、どうしても高知城に軍配があがるの。


そういう勧め方もあるんだな。さすがだぜ。
ほうじゃろう、ほうじゃろう。そもそも高知城はな、多雨の地域にあるけえ、雨対策として長押(なげし)型水切りが設けてあってじゃの。これがまた見ごたえ十分なんよ。さらに野面(のづら)積みの石垣が野趣あふるる雰囲気を醸し出してあってじゃな…………。
(しまった! 褒めた途端に調子に乗りがった……!)
(まったく……。武松さんのせいですからね……!)

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登場人物紹介

今岡英二公式ツイッター(一日トリビアつぶやき中)



■今岡英二(天使)


最近「小説のキャラよりキャラが立っている」といわれる、同コラボノベルの作者。

無駄に行動力だけはある。

なお、この絵は作者がバンド活動をしていたとき、知り合いのイラストレーターが作成してくれたお気に入りの一枚。現在はバンド活動から離れ、体重が増加したため、ここまでかっこよくはない。


「上京して十数年経つが、広島弁が抜けりゃあせんのう(笑)」とは本人の弁。


■今岡英二(悪魔)


悪魔イラストの割りに、天使と対立しているわけでもない。広島生まれ・広島育ちの根っからのカープファンだが、近年カープが人気しすぎて、年一回の帰省でも現地で野球が見れないのが最近の悩み。


「ええんじゃ。昔の貧乏な頃のカープに比べりゃあのう。みんなが見に来てくれて、潤うようになったカープがありゃあ、それだけでええんじゃ……」とは作者のコメント。

■今岡英二(お守り)


歴史オタク・読書オタク・漫画オタク・勉強オタクな今岡英二の変態担当、作家・ライター担当。自身の小説キャラを辟易とさせるなど、悪魔よりも悪魔っぽい存在。


「なんでそんなことまで知っているんだ」「ふつうそこまで知りませんよ」とキャラにつっこまれても、「勉強したけえの」と言えば大抵のことは許されると思っているなど、余計に性質が悪い。

ニコル・クロムウェル(Nicol=Cromwell)


「Dr.ニコルの検死FILE」の主人公。

作者・今岡英二のつっこみ役A。紳士然とした丁寧な語り口だが、作者に対してはたまに辛辣な物言いを吐く。たぶんストレスがたまっているんだね。

武松(ぶしょう)


「大宋退魔伝」の主人公。

作者・今岡英二のつっこみ役B。そろそろ「左近ちゃん 見参!」の三成にでもつっこみ役を代わってもらいたいと思っているが、同作のキャラアイコンが家紋なので却下され、最近やさぐれ気味。きっとストレスがたまっているんだね。

石田三成(いしだ・みつなり)


「左近ちゃん 見参!」の主人公。

同作ではいいツッコミ役を果たしていたが、作者の「キャラアイコンにしっくりくるのがなかったけえ、家紋にした」という一言のせいで、ここでは活躍の場を与えられないという憂き目に遭う。ごめんな。


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