110話②【変】鎌倉の迷所、源頼朝を祀る白旗神社

文字数 1,178文字

それにしても、さっきの墓、歴史ある趣でしたけど、あれってやっぱり鎌倉時代に建てられたものなんでしょうか?
いや、江戸時代。
おいっ!!

いや、あのふもとには、もともと頼朝の遺骨が埋葬された法華堂いうんがあったんよ。

ま、そのお堂そのものが本来は墓みたいなもんじゃったわけじゃな。

そのお堂は?
いまはない。
なんでだっ!!
明治の廃仏毀釈で取り壊されてもうたけえな。
マジか……

だいたい、そのお堂もなんども壊されちゃあ、何度も建て直されるいうのを繰り返しとったそうなで。

というのも、そこは「頼朝の墓=誰も手が出せない場所」いうことで、頼朝死後の内紛ではたびたび一族の避難所にされたりもしとったそうなんよ。

中には、執権北条氏に対して反旗を翻した三浦一族が法華堂に立て籠もって、一族と家臣ら五〇〇余名がここで自刃するいう事件もあったぐらいなんじゃ。

凄惨だな……
そんなことを繰り返された日には、何度も壊されていたっていうのも納得ですね。

ほうじゃろ。

で、何度も再建を繰り返された結果、頼朝の遺骨はどこへいったかようわからんようになったもうたそうなんじゃ。

マジか……
で、江戸時代に源頼朝の子孫を自称する、島津家が「頼朝の父源義朝の墓があった勝長寿院から層塔を移設」して、墓としてよみがえらせたということなんじゃ。
そういう経緯があったんですね。
しかし、自称ってのは?

ああ。

島津家の祖じゃといわれとる島津忠久は、頼朝の御家人をしとったんじゃがな。

若いころから大抜擢を受けとったせいで、「島津忠久は頼朝の隠し子だったんじゃないか」といわれとるんよ。

マジかっ!?

まあ、確証がないけえ、真偽は定かではないがの。

ただ、島津家ではそれを『島津国史』や『島津氏正統系図』「忠久を生んだ丹後局は源頼朝の側室で、忠久は頼朝の落胤」として、あたかも史実であるかのように扱っとるんじゃ。

言ったもの勝ちの感がありますね……

ま、武将の家系図なんて、どこも似たり寄ったりよ。

で、墓は江戸時代に再建されたわけなんじゃが、現在、国の史跡に指定されとる法華堂跡にも、明治期にその後釜である神社が再建されとるんじゃ。

これがその白旗神社よ!!

これも広い意味では、源頼朝の墓所といえようてな。

え?

国の史跡に?

それって大丈夫なのか?

ああ。

問題はない。

なんせさっきもいうたように、法華堂自体何度も建て直されちゃあ壊されを繰り返されとったけえな。

そのたびに土地がだいぶ削られとったようで、その後の調査でも中世の遺跡らしきものは発見されとらんのじゃ。

遺跡もないのに、国の史跡ですか……

源頼朝に敬意を払っていうところかのう。

ちなみに鶴岡八幡宮の境内にも同じ白旗神社があるんじゃが、やはり参道から本殿までの導線から外れとるせいか、ここもあまり人が寄り付かん感じになっとるんじゃ。

人が寄り付かねえ名所……
ほんと、そういうの好きですよね……

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登場人物紹介

今岡英二公式ツイッター(一日トリビアつぶやき中)



■今岡英二(天使)


最近「小説のキャラよりキャラが立っている」といわれる、同コラボノベルの作者。

無駄に行動力だけはある。

なお、この絵は作者がバンド活動をしていたとき、知り合いのイラストレーターが作成してくれたお気に入りの一枚。現在はバンド活動から離れ、体重が増加したため、ここまでかっこよくはない。


「上京して十数年経つが、広島弁が抜けりゃあせんのう(笑)」とは本人の弁。


■今岡英二(悪魔)


悪魔イラストの割りに、天使と対立しているわけでもない。広島生まれ・広島育ちの根っからのカープファンだが、近年カープが人気しすぎて、年一回の帰省でも現地で野球が見れないのが最近の悩み。


「ええんじゃ。昔の貧乏な頃のカープに比べりゃあのう。みんなが見に来てくれて、潤うようになったカープがありゃあ、それだけでええんじゃ……」とは作者のコメント。

■今岡英二(お守り)


歴史オタク・読書オタク・漫画オタク・勉強オタクな今岡英二の変態担当、作家・ライター担当。自身の小説キャラを辟易とさせるなど、悪魔よりも悪魔っぽい存在。


「なんでそんなことまで知っているんだ」「ふつうそこまで知りませんよ」とキャラにつっこまれても、「勉強したけえの」と言えば大抵のことは許されると思っているなど、余計に性質が悪い。

ニコル・クロムウェル(Nicol=Cromwell)


「Dr.ニコルの検死FILE」の主人公。

作者・今岡英二のつっこみ役A。紳士然とした丁寧な語り口だが、作者に対してはたまに辛辣な物言いを吐く。たぶんストレスがたまっているんだね。

武松(ぶしょう)


「大宋退魔伝」の主人公。

作者・今岡英二のつっこみ役B。そろそろ「左近ちゃん 見参!」の三成にでもつっこみ役を代わってもらいたいと思っているが、同作のキャラアイコンが家紋なので却下され、最近やさぐれ気味。きっとストレスがたまっているんだね。

石田三成(いしだ・みつなり)


「左近ちゃん 見参!」の主人公。

同作ではいいツッコミ役を果たしていたが、作者の「キャラアイコンにしっくりくるのがなかったけえ、家紋にした」という一言のせいで、ここでは活躍の場を与えられないという憂き目に遭う。ごめんな。


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