102話① 他とは違う! 岡山名物の「ばら寿司」

文字数 1,144文字

前に一宮のことは説明したよの?

ああ。

その地域で一番由緒ある神社のことだったっけ?

ほうじゃな。

で、その一宮なんじゃが、岡山市北区には二つの一宮があるというたら、どうかの?

どういうことですか?
一宮ってのは1つだけじゃねえのか?
おう、一つの国に一つだけじゃぞ。
じゃあ、なんでそんな現象が起きるんですか?
なんかのミスとかか?

違うのう。

実は岡山市北区は、旧国名が備前と備中でわかれとったんじゃ。

で、たまたまそのわりと近いところに備前一宮と備中一宮があったけえ、そういうことになったんじゃ。

なるほど。
そういう経緯があったんですね。

ほうなんよ。

しかも、もっといやあ、もともと岡山県自体は吉備という国名じゃったんじゃが、それが7世紀後半に、備前、備中、備後に三分されたいう経緯もあるんじゃ。

なので、備前、備中、備後の三国とも、一宮の根っこは同じいう現象が起きとるんじゃ。

マジかっ!?

ああ。

なんせ備中が吉備津神社、備後も吉備津神社、備前が吉備津彦神社いう感じじゃけえな。

ややこしいですね。
それも大元の神社があって、残りの二つはそこから分けられたもんと思っておけば、そのややこしさもだいぶかわろうというもんなんじゃ。
で、それのどこが大元になるんだ?

おう。

大元はその三国の丁度まんなか、備中の吉備津神社よ。

これがそうじゃ!!

ほう、立派なもんだな!

そこはかとない威容がありますね!

ほうじゃろ。

これは備中の一宮だけでなく、「吉備総鎮守」「三備一宮」ともいわれとるけえな。

創建自体は古すぎて不明、本殿は室町幕府の足利義満造営とされとって国宝にも指定されとるんじゃ。

マジかっ!?

おう。

それ以外にも、この吉備津神社には「鳴釜神事」いう、古くから伝わる神事もあるんじゃ。

鳴釜神事?

ああ。

これは文字通り、「なるかましんじ」と読むんじゃがな。

釜の上に置いた蒸篭(せいろ)に米を入れ、蓋を乗せた後、釜を焚いて、そこから鳴る音の強弱や長短で吉凶を占ういうものなんじゃ。

変わった神事ですね。

まあのう。

神事いうのはそういうもんじゃろうて。

これって基本的には鳴るものなんですか?

ほうじゃな。

一応鳴るそうな。

じゃあ、鳴らなかったらどうなるんだ?

鳴らないのは凶事いうことになるんじゃと。

江戸期に上田秋成によって書かれた『雨月物語』の中に「吉備津の釜」いうんがあるんじゃが、そこには釜が鳴らなかったことで凶事が予見されるいう話が書かれとるんよ。

マジかっ!?
ちなみにその話はどうなるんです?
凶事を隠して結婚した挙句、他に好きな女ができた男が妻を捨てて家出。後にその男は妻の亡霊に祟り殺されるいう結末じゃな。
因果応報ってやつか……
恐ろしい話ですね……

神事を疑っちゃあいけんいうことよの。

神事だけに信じなさい、いうことじゃ。

てめえ!
オチがひどい!!

ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)
※これは自由参加コラボです。誰でも書き込むことができます。

※コラボに参加するためにはログインが必要です。ログイン後にセリフを投稿できます。

登場人物紹介

今岡英二公式ツイッター(一日トリビアつぶやき中)



■今岡英二(天使)


最近「小説のキャラよりキャラが立っている」といわれる、同コラボノベルの作者。

無駄に行動力だけはある。

なお、この絵は作者がバンド活動をしていたとき、知り合いのイラストレーターが作成してくれたお気に入りの一枚。現在はバンド活動から離れ、体重が増加したため、ここまでかっこよくはない。


「上京して十数年経つが、広島弁が抜けりゃあせんのう(笑)」とは本人の弁。


■今岡英二(悪魔)


悪魔イラストの割りに、天使と対立しているわけでもない。広島生まれ・広島育ちの根っからのカープファンだが、近年カープが人気しすぎて、年一回の帰省でも現地で野球が見れないのが最近の悩み。


「ええんじゃ。昔の貧乏な頃のカープに比べりゃあのう。みんなが見に来てくれて、潤うようになったカープがありゃあ、それだけでええんじゃ……」とは作者のコメント。

■今岡英二(お守り)


歴史オタク・読書オタク・漫画オタク・勉強オタクな今岡英二の変態担当、作家・ライター担当。自身の小説キャラを辟易とさせるなど、悪魔よりも悪魔っぽい存在。


「なんでそんなことまで知っているんだ」「ふつうそこまで知りませんよ」とキャラにつっこまれても、「勉強したけえの」と言えば大抵のことは許されると思っているなど、余計に性質が悪い。

ニコル・クロムウェル(Nicol=Cromwell)


「Dr.ニコルの検死FILE」の主人公。

作者・今岡英二のつっこみ役A。紳士然とした丁寧な語り口だが、作者に対してはたまに辛辣な物言いを吐く。たぶんストレスがたまっているんだね。

武松(ぶしょう)


「大宋退魔伝」の主人公。

作者・今岡英二のつっこみ役B。そろそろ「左近ちゃん 見参!」の三成にでもつっこみ役を代わってもらいたいと思っているが、同作のキャラアイコンが家紋なので却下され、最近やさぐれ気味。きっとストレスがたまっているんだね。

石田三成(いしだ・みつなり)


「左近ちゃん 見参!」の主人公。

同作ではいいツッコミ役を果たしていたが、作者の「キャラアイコンにしっくりくるのがなかったけえ、家紋にした」という一言のせいで、ここでは活躍の場を与えられないという憂き目に遭う。ごめんな。


ビューワー設定

背景色
  • 生成り
  • 水色