197話② はりまや橋でかんざし買うた坊さんの居る「竹林寺」

文字数 1,235文字

で、もうわかったじゃろうが、このかんざしを贈った坊さんは、実際に江戸時代に高知におったんよ。
だろうな。
どこのお坊さんだったんですか?
それがこの竹林寺の坊さんじゃったんよ!!
立派な寺だな!
由緒あるところなんですか?

ああ。

高知の中でもとりわけ由緒あるお寺さんで。

なんせ創建は神亀元年(724年)じゃと伝えられとるけえな。

古いなっ!!

しかもここは紅葉が見事でな。

秋の紅葉シーズンになったら、それはそれで見事なもんなんよ。

たしかに見応えありそうですね。
で、さっき言ってた生臭坊主はこの立派な寺の僧だったってわけか?

生臭坊主って……、武松さんにだけは言われたくないでしょうけどね。

ま、正確にはここの南坊の住職じゃったそうじゃがの。

南坊?

脇坊いうてもええかの。

つまりメインの寺じゃのうて、そこの脇にある末寺の住職じゃったいうわけなんよ。

なるほどな。

で、その住職の名を純信、町娘の名をお馬というたそうなんじゃが、かんざしを買うたのはこの純信じゃという説と、実は他の僧が買うたという説が存在しとるんじゃ。
二つの説?
どういうこった?
純信が買うたいうのは、「純信が37歳、お馬が17歳の時、二人が恋に落ち、純信がお寺の金を横領。その金でかんざしを買うた」いう説じゃな。
やっぱ生臭じゃねえか!!
他の僧が買うたいうのは、「純信の弟子・慶全がもともとお馬と恋仲だったんじゃが、お馬が純信に惹かれて、慶全が失恋。慶全が気を引くためにかんざしをプレゼントするも、袖にされたため、腹いせに『純信がかんざしを買うた』といううわさを広めた」というもんじゃな。
純信さん、かわいそう……とは、なりにくい話ですね。
結局、生臭がもう一人増えただけじゃねえか!!

まあのう。

ま、いずれにせよ、スキャンダルであることに変わりはありゃあせん。

なので、事情はどうあれ、二人の情事が瞬く間に知れ渡ったために、二人は駆け落ちを決行。しかし、途中で関所破りの罪でとっつかまって、面晒しの刑を受けたそうな。

面晒しの刑?

ああ。

人前で縛って、しばらくその顔をさらすいう刑じゃな。

ここでもさらし者かっ!!

ま、駆け落ちも関所破りも、罪は罪じゃけえな。

で、その面晒しの後、二人は高知から追放されたという話じゃ。

むしろ追放されてよかったですね。
面晒しの後、留め置かれたほうが苦痛じゃったじゃろうな。
で、二人はその後、どうなったんだ?
お馬の後を純信が追ったせいで、お馬は一時庄屋預かりにもされたそうなで。
ストーカーかっ!!
お馬さん、かわいそう……とは、やはりなりにくいですけどね。

うむ。

慶全から純信に乗り換えた説が正しいとすれば、むしろ残当という気がせんでもないしのう。

ま、その後、二人はそれぞれ別の配偶者を見つけ、明治の世になって、天寿をまっとうしたそうながな。

よかった、よかった……なのか?
ちなみにこの話は浄瑠璃の演題にもされて、わりと人気になったそうな。


またさらし者か!!

一回いらんことすると、延々とさらし者にされるいう戒めかもしれんのう。

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登場人物紹介

今岡英二公式ツイッター(一日トリビアつぶやき中)



■今岡英二(天使)


最近「小説のキャラよりキャラが立っている」といわれる、同コラボノベルの作者。

無駄に行動力だけはある。

なお、この絵は作者がバンド活動をしていたとき、知り合いのイラストレーターが作成してくれたお気に入りの一枚。現在はバンド活動から離れ、体重が増加したため、ここまでかっこよくはない。


「上京して十数年経つが、広島弁が抜けりゃあせんのう(笑)」とは本人の弁。


■今岡英二(悪魔)


悪魔イラストの割りに、天使と対立しているわけでもない。広島生まれ・広島育ちの根っからのカープファンだが、近年カープが人気しすぎて、年一回の帰省でも現地で野球が見れないのが最近の悩み。


「ええんじゃ。昔の貧乏な頃のカープに比べりゃあのう。みんなが見に来てくれて、潤うようになったカープがありゃあ、それだけでええんじゃ……」とは作者のコメント。

■今岡英二(お守り)


歴史オタク・読書オタク・漫画オタク・勉強オタクな今岡英二の変態担当、作家・ライター担当。自身の小説キャラを辟易とさせるなど、悪魔よりも悪魔っぽい存在。


「なんでそんなことまで知っているんだ」「ふつうそこまで知りませんよ」とキャラにつっこまれても、「勉強したけえの」と言えば大抵のことは許されると思っているなど、余計に性質が悪い。

ニコル・クロムウェル(Nicol=Cromwell)


「Dr.ニコルの検死FILE」の主人公。

作者・今岡英二のつっこみ役A。紳士然とした丁寧な語り口だが、作者に対してはたまに辛辣な物言いを吐く。たぶんストレスがたまっているんだね。

武松(ぶしょう)


「大宋退魔伝」の主人公。

作者・今岡英二のつっこみ役B。そろそろ「左近ちゃん 見参!」の三成にでもつっこみ役を代わってもらいたいと思っているが、同作のキャラアイコンが家紋なので却下され、最近やさぐれ気味。きっとストレスがたまっているんだね。

石田三成(いしだ・みつなり)


「左近ちゃん 見参!」の主人公。

同作ではいいツッコミ役を果たしていたが、作者の「キャラアイコンにしっくりくるのがなかったけえ、家紋にした」という一言のせいで、ここでは活躍の場を与えられないという憂き目に遭う。ごめんな。


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