第471話 エンゼルセット

文字数 449文字

 想像もつかないとはこういうことを言うのだろう。小説は、その中で知らない世界を疑似体験させてくれる。昨日から、久坂部羊という現役(?)医師の小説を読み始めた。本人の体験による在宅医療の現実が詳細に書かれており、いささかのショックを受けた。職業として当然の患者の死に立ち会うのだけれど、死後の処理の内容については一般人はほとんど知らない。


   多田神社にて

 自分たちが見る死者は、鼻や耳に詰め物がされており、死に化粧もほどこされている姿が普通だ。だからこそ、そこに集まる関係者が無事に死者を送ることができるのだ。しかし、現実には、そこへ至るまでには事前に様々の手順があったのだ。その処理は、普通は看護師か、葬儀社が行なうのだが、そのための道具や詰め物をエンゼル(エンジェル)セットという。なんとも意味深なネーミングだ。映画「おくりびと」は、やはりそこまでは見せていなかった。
 様々な小説家の体験した世界を知るのも、本を読む楽しみの一つかも知れない。世の中にはまだまだ知らないことがたくさんあるようだ。



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