第595話 藤井聡太、七冠

文字数 477文字

 あっけなくと言っていいほど簡単に藤井聡太が七冠を達成した。勝負の世界には勝者と敗者がいる。藤井が勝利して喜びを表情に表さない分、渡辺の敗戦がより際立って感じられた。19年ぶりに渡辺は無冠となった。藤井がうまれたころから、渡辺は何らかのタイトルを保持し続けてきたのだ。渡辺のショックの大きさは本人にしか分からないことだろう。


  投了図

 渡辺にとって、藤井が登場して以来ずっと天敵が現われたと思っていたのではないのだろうか。藤井と渡辺の対戦成績の20勝4敗という数字がそれを物語っている。だから今回の名人戦にしても、戦う前から渡辺は自信を持って戦うことができなかったように見える。現在の両者の実力差に彼は気づいていたのだと思う。相撲で両者が組み合った時に相手の実力が分かるように。
 名人を奪取された渡辺が、敗戦後のインタビューでもその悔しさを表に出さなかった。その彼の態度に、渡辺の今後の復冠に期待したいと思う。残念ながら、もう藤井の八冠は目の前だ。彼の前に互角に戦える強者の出現に期待したい。でないとあまりにも将棋が面白くなくなってしまう。


  勝者と敗者

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