第22話 「シクラメンのかおり」

文字数 548文字

 小椋佳は、東大出身で、銀行マンとの掛け持ちというセンセーショナルな登場だった。彼の曲は、歌謡曲でも演歌でもなく、フォークとも違っていた。詩的であり、散文的でもあった。詩の内容は、情緒的であり、はっきりとした言葉で語られるのではなく、聞いている人の判断にゆだねるといったスタイルが特徴だった。
 昨日のテレビドキュメント「もういいかい 小椋佳」は、その種明かしでもあったように思う。77歳という年齢がそうさせたのかもしれない。曲作りは、最初にテーマやイメージがあり、それにあわせたキーワードをさがす。キーワードから彼の連想ゲームが始まっていく。それらをつなぎ合わせる、といった手法だと説明してくれた。だからこそ、言葉とことばに明確なつながりがない。なるほどと思った。

一世を風靡した「シクラメンのかおり」
 真綿色した シクラメンほど 清(すが)しいものはない
 出逢いの時の 君のようです
 ためらいがちに かけた言葉に
 驚いたように ふりむく君に
 季節が頬をそめて 過ぎてゆきました

この歌は、彼の初恋の人であり、奥さんでもある彼女にささげた、初恋の歌だったのだ。小椋佳の恥ずかしげで、可愛くて、純情一筋の思いが伝わってきてほほえましい。

小椋佳の初期からの一ファンであると自認する勝手な想いを書いてみた。
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