第77話 苦手意識

文字数 735文字

 藤井聡太が天敵である豊島将之に三連勝した。これで豊島との対戦成績は、1勝7敗から4勝7敗へと大きく前進した。もう、苦手意識が払拭されたように見える。豊島に対する研究の成果が現れてきているようだ。
 個人的には、毎週の土曜日に将棋を指すことを楽しみにしている。そこには好敵手がおられ、当初は手も足も出ないでやられるばかりだった。原因ははっきりとわかっていた。一つは序盤の駒組のミスを突かれ大敗、中終盤まで持ち込めたとしても凌ぎあいに負ける、もう一つは終盤での痛いミスで逆転負けだ。それがこのところ、勝ち越しが出来るようになってきた。そうなると、今まで考えられなかったミスを相手がしてくれる、そこをものにして勝利に結びつけることができるようになっているのだ。
 全くレベルの違いはあるだろう。ど素人とプロでは天と地ほどの違いはあることは分かっている。ただ、僕らのレベルでも何となく感覚的に分かることがある。この三連戦を見ていて、あの冷静な豊島に大きな変化が出始めているのだ。リードすべき局面で好手が指せない、複雑な局面で今までになかったミスをする、これまで強気に攻めていた局面で、引いてしまいそこを藤井がそこを攻める。これまではあまり迷いを見せなかった豊島が、明らかに決断の鈍った手が増えているように思えた。今は、AIが分析し次の手の確立を表示してくれる。藤井がAIに沿った手を指す確率が高いのに対し、豊島はこの三戦ではAIとは違う手を指す局面が増えていた。それが藤井の三連勝に繋がっているように感じたのだ。素人とプロの違いがあっても、心理的な面では基本変わらないことがあるかもしれない。と、ど素人は勝手な感想を述べてしまった。
 次戦の豊島の巻き返しがより楽しみになってきた。


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