第464話 八月十六日

文字数 484文字

 8月16日は自分にとって忘れられない日だ。当時高校二年生だった自分と家族は、下呂温泉への家族旅行の帰り、鈴鹿峠のコンクリートの橋欄干に激突するという大事故に遭った。父とは母は骨折、助手席に乗っていた自分と妹は車のフロントパネルに頭を強打した。車を運転をしていた父の会社の人は即死だった。ハンドルに胸を圧迫されたと後で分かった。知らせを聞いて婚約者が駆けつけたという。軽症だったのは弟だけだった。


   馬篭宿にて

 自分は、事故後丸二日意識を失っていたという。気がついた時、周りに数人の医者や看護婦さんが自分を見つめていたことをかすかに覚えている。頭を強く打ち、助かったのが奇跡だといわれた。その後、耳鳴りに悩まされることになり、原因が判明するまで多くの病院を母と駈けずりまわった。実は耳鳴りではなく、頭の中の血管に空いた穴から放出される血流の音だった。祖母の入院していた大阪厚生年金病院で原因が判明。その後、阪大に転院し、手術を受けた。片目は失ったが、今も元気に生きていることが不思議に思える。今にして思えること、それは人生とは様々な経験で成り立っているということだ。



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