第82話 「性に目覚める頃」

文字数 413文字

 いつもの朝ウオーク、朗読番組を聴いてみた。室生犀星という名前と「性に目覚める頃」という題名に引き付けられたのだ。一話15分で、12回分よく辛抱して聴いたものだと思う。途中でやめるのが嫌だっただけだ。
 その内容は全くの期待外れ(自分が勝手に想像していてだけだが)だった。調べてみると、犀星は元来が詩人としてスタートしていて、初の小説に挑戦した作品らしいことが分かった。それも、元の題は「発生」で、これでは売れぬと出版社が勝手にこのような題に変更して出したらしい。なるほどの判断だ。この判断が大成功したのだろう。勝手な思い込みでこの小説を読んだ人は、世の中に多いのではと思う。
 いつの時代も、商品である限り、売らねばならぬ、見てもらわねばならぬ、買ってもらわねばならぬ、「売れてナンボ」は変わらないのだ。ネーミングや宣伝に弱い自分は、失敗に懲りず、同じ過ちを今も繰り返している。
 室生犀星の作品を決して否定しているわけではない。




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