第468話 森山大道

文字数 511文字

 森山大道という写真家のドキュメントを見た。名前だけは知っていたが、具体的にどんな作風なのかは知らなかった。本人が「僕は街頭スナップ写真家だ」と言うように、手当たりしだいに町に出て写真を撮った作品ばかりが目立つ。自分もやったことはあるが、けっこう勇気がいるし、コツもいる。下手にカメラを向ければ、トラブルになる。


   峠の道こんな一服をさせるところがあった

 写真を含め、芸術全般にわたって名が出る、残るものの最大のポイントは「特徴」だと思う。如何に個性あふれるかが問われることになる。森山の作品を見ていて改めてそう思った。写真を志す者にとって、「アレ・ブレ・ボケ」は一番嫌われる。基本的な問題だとも言われた。それを逆手にとり、「アレ・ブレ・ボケ」を最大の特徴にしてしまったのだ。彼は、写真に技術や美的感覚は必要ないものだと捉えているようだ。意図したものかどうか分からないが、これが彼が世に出た最大の原因だと思う。芸術は一種の「切り取り」だと思う。彼はその切り取りに優れていたのだ。
 自分はいまだに「アレ・ブレ・ボケ」が嫌いだ。もういまさらそれを好きにれと言われても、お断りするしかない。


   こんな宿がずっとつらなっている

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