第230話 「公民館活動」

文字数 713文字

 「公民館活動」は、老年にとっての大きな楽しみの場だと思う。ここに、これほどの大きな楽しみとやりがい、人とのコミュニケーションがあるとは思わなかった。
 スタートは、絵に関心があっての近場の公民館だった。そこを主催されていた先生が、高校の大先輩であったことがラッキーだった。何か特別に目をかけていただいているという気がしている。月二回だけれど、その日が待ち遠しく、終了後の先生を囲んでのランチも楽しみになっている。
 


 次が、市の中央公民館での将棋クラブ。むくつけき男どもとの真剣勝負は、あっという間に三時間が過ぎてゆく。上級者を会心の指しまわしで倒した時の快感は、帰宅後の酒が上手くなる。ヘボな自分が、先年は子供教室の先生役を仰せつかった。三つ目は、俳画・俳句の教室、これも女性陣の中でぽつんと一人の参加だが、何とも楽しいものだ。自分の俳句が、句会で選ばれた時の嬉しさは格別だ。
 最後がグランドゴルフ、三十人を超える平均80歳半ばの人たちがほぼ皆勤で参加されている。そこにはそれだけの楽しみとゲーム性があるからだ。自分だけがという思いもあり、家内を連れ出すのが最初の目的だった。当初、少し馬鹿にしていた自分が恥ずかしい。足を引きずっている人、腰をかばいながらの人、すこし認知症が出かけている人、60歳で入会して今年に九十歳を迎えた妙齢の女性、この会の代表は日本百名山を走破したすごい人だ。往年のイケメン、イケテルジョシが、歳を忘れてキャアキャア楽しむ姿はなかなかいいものだ。
 全てのクラブに女性上位の集まりだが、男性の参加が少ないのがまことに残念なことだと思う。一歩踏み出せば、楽しみの世界が広がっていることだけは確かなことだ。



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