第２４２話　「アメリカン・スナイパー」

　「アメリカン・スナイパー」を見た。Ｃ．イーストウッドの監督作品で、戦争映画で史上最高の興行収入を上げている。いかにも映画作りを知り尽くした彼の作品らしい。「米軍史上最多、160人を射殺した、ひとりの優しい父親」という映画のキャッチコピーが付いている。
　戦争とは無縁ではすまされない米軍人と、その家族にいかに大きな影響を与えているかを問いかけるアメリカ人の心を憎いまでに読み切った作品だ。イラク戦争で狙撃兵として才能を開花させたクリス・カイルの実話をもとに作られており、米軍人からは「レジェンド」と賞賛され、敵側からは「悪魔」と恐れられた人物だ。最後の遺体を乗せた車列が墓地へ向かうシーンには、自然に涙がこぼれてきてしまった。
　監督のＣ．イーストウッドは、日本中の全てが見ただろうテレビ映画「ローハイド」で登場した。俳優として成功し、91歳、いまだに映画作りに携わるまさに映画界の「レジェンド」だ。

　今の日本人にとっては、戦争への参加は基本的にはない。しかし、日本を取り巻く状況がますます緊迫の度合いを強めており、全く無視するわけにもとてもいくまい。アメリカだよりの日本にとって、軍人とその家族の思いを知ることは大切なことだと思う。戦争で苦い経験をした日本人が、戦争回避のためにできることないのだろうか。