第195話 〇〇家

文字数 436文字

 親父と生前に口喧嘩をしたことがあった。その時に親父の言った言葉「○○家はどうするんだ!」と言われたのだ。どういう経緯でそのような言葉を受けたのかも忘れてしまった。親父は三男で、家の後継ぎとは関係のないことだと自分はおぼろげに思っていた。家を守るという意識が当時の人は強かったのだろう。今でも、代々続く家庭ではもちろん重要なことかもしれない。




 それから云十年、今になって二人の息子たちが立派に○○家を継ぐ孫たちを三人も育ててくれた。そこには自分としてほとんど役には立ったと思わないが、ほんの少し親父の思いをつなげられたのだろうか。そんな年に自分もなってきたのだと言えるのかもしれない。




 親父は4人兄弟で、長男は衆議院議員にもなったけれど、その長男と折り合いが悪く、後継ぎは出来ず夭折してしまった。次兄は養子に入り、四男は戦死と、結局は三男である親父にその役目は引き継がれていたのだ。
 結果的に、幸運にもわが息子の努力によって、わが○○家は何とか継続が出来そうな気配である。


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