第３０４話　藤井聡太　Ａ級自力昇格

　藤井聡太が自力で昇級した。他の二人、稲葉と千田のどちらかが負けてもということだったが、それは周りが勝手に言っていることであり、本人はそんなことは眼中になかったようだ。勝って自力で上ることだけを考えていたのだろう。



　佐々木は、練った作戦を早めに展開して攻め込んだが、じっくりと藤井に読み切られ、あえなくの敗戦となった。周りの解説人はＡＩの指し手ばかりが気になっていたようで、藤井の手筋を全く読めていなかった。解説者がそうなのだから、当方にはまったく分からない。気がつけば、ＡＩが急に藤井リードに反転し、あわてて解説はその手筋を追っかける始末。まあ、一番強い藤井の考えていることを見破ることは出来ないのが当たり前だが。
　桂の使い方の上手い藤井が、佐々木の桂打ちであわやの展開に見えたが、あわてずしっかりと読みきり、反転逆襲に出ての勝利だった。
　これで藤井は。Ａ級昇級を果たし、来期は名人への挑戦をめざして頑張るだろう。もう、八冠も現実のものとして視界に入ってきた。


　　　　　　　　中山寺にて