第395話 河野裕子と生きた青春

文字数 421文字

 老年になると、あのような狂おしい青春が自分にもあったのだろうかと、過去を振り返りたくなる。そう思わせてくれたドラマを見た。
 柄本祐と藤野涼子が演じた「あの胸が岬のように遠かった~河野裕子と生きた青春~」、昭和を代表する歌人の物語。妻の残した日記を元に追想するのは、主人の永田和宏、二人とも宮中歌会始の選者でもある。彼は京大出身の細胞学者の権威でもあり、妻の河野裕子も京都女子大の才媛だ。大学4回生の時に角川短歌賞を受けるという逸材。この二人の間に交わされる短歌がなんとも狂おしくエロチックだ。お二人の代表作を紹介する。



 永田和宏
  きみに逢う 以前のぼくに遭いたくて 海へのバスに 揺られたり
  抱きたいと思える女性が どうしよう 
     どこにもいなくて 裕子さん、おい
 河野裕子
  たとへば君 ガサッと落葉をすくふやうに 
     私をさらって行ってはくるぬか
  手をのべて あなたあなたに触れたきに
     息がたりないこの世の息が



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