第141話 白鵬の引退に思う

文字数 572文字

 白鵬が突然に引退した。横綱の引退は得てしてこのような形になるのは致し方ないことだけれど、いつも寂しく感じる。お決まりの負けての引退なら、これも仕方ないことだけれど、先場所に全勝優勝した横綱が、何故という不思議な引退だ。品格を問われた白鵬にしては、「15日間取り切るだけの体力に自信が持てない」という決断は、見事な横綱としての品格だとは思うのだが。
 人への評価は、評価する人によって大きく違う。事あるごとに、協会やマスコミはこぞって白鵬の品格や態度、取り口の批判をしてきた。確かに日本の伝統と相撲道という観点からは、許せないところもあっただろうと思う。
 しかし、彼の45度の優勝、数々の記録更新、さらにあの協会の存亡も問われた八百長疑惑の中での彼の功績、一人横綱としての場所を守り続けた実績を比べれば、あまりにも批判だけが前面に押し出されたように思える。

 白鵬の横暴を批判する前に、協会として何をやってきたのだろう。白鵬と互角に対抗できる日本人横綱がいればこんな結果にもならなかっただろう。古い体質を引きずり続ける相撲協会の努力不足や各親方たちの怠慢が、先に責められるべきではないかと思う。モンゴル出身の力士と日本人力士の取り口や勝負への必死さの違いは歴然としているではないか。あの貴乃花の協会への批判行動の謎がこのあたりにあるような気がする。



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