第288話 小説の楽しみ

文字数 426文字

 小説の楽しみは、自分を仮想の世界へ導いてくれるからだ。自分が行きたくて行けない、体験したくてもできない、見たくても見えない、まったく思いもつかない所へ連れていってくれる。
 今、読んでいる「滋賀越みち」(伊集院静)は、京都の伝統を織りこみつつ、京都祇園の舞妓、芸子、置屋、お茶屋の世界を見せてくれつつ、舞妓との恋愛の物語だ。男なら、こんな世界を垣間見たい、楽しみたいと思う人も多いだろう。




 世間知らずの学生が舞妓に一目ぼれ、舞妓もそれにこたえる。昨晩は、その舞妓の旦那になろうとする旦那衆が現れたところだ。学生はどうする、舞妓も苦しむ、さてこの先はどう展開していくのだろう。
 こういう世界は誰しもが体験しようとしてもできない世界だ。この仮想世界は、もうすぐ終末を迎える。それにしても、この話を作りあげるのには、かなりの勉強と体験がなければ書けないと思う。想像だけでは書けない世界を、京都人でもない伊集院氏がどのように作品化したのだろうことに興味がわく。



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