第5話 小売業の苦しさ

文字数 298文字

 コロナ禍、消費者に直接に結びつく飲食業を始めとする小売業の苦しさは、それを経験したものでないと正直分からないと思う。思いやることは誰にでもできるだろう。しかし、思うことと現実には途方もないほどの距離がある。頭で考えたことと、経験したことには雲泥の差があるのだ。日々の資金繰りに頭を痛める経営者の心のうちは、筆舌に尽くしがたいと思う。中小の小売屋さん、「頑張って下さい」、としか自分には言うことができない。
 知っているつもりと体験、それを嫌というほど痛感させられた出来事、それは阪神大震災との遭遇だった。「恐怖」という言葉すら、絵空事のように思った。言葉は、後でどのようにでも作られるものなのだ。
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